...彼れはとう/\むせ返るやうな寒い白さの中に包まれてしまつた...
有島武郎 「潮霧」
...むせ返る酒場の喧噪(けんそう)の中に...
江戸川乱歩 「「悪霊物語」自作解説」
...むせ返る様な声が起った...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...地下室はむせ返る熱狂の極点に達し...
江戸川乱歩 「影男」
...むせ返るような脂粉の香が立ちのぼっていた...
江戸川乱歩 「影男」
...むせ返るように漂っていた...
江戸川乱歩 「影男」
...むせ返る甘い薫(かおり)の世界へ引き込まれて行った...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...むせ返る菊の薫りだ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...アア、そういう内にも、火は既に棺の底を焼抜いて、真赤な焔がチョロチョロと倭文子の着物の裾をなめ、むせ返る煙に、母も子も早や叫ぶ力さえなくなってしまった...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...怪物が敷石を動かし始めた頃から、むせ返る様な、一種異様の臭気が、部屋中にただよい出した...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...若葉の匂(におい)のむせ返る公園などを...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...むせ返るような明るい色に盛上っていたが...
豊島与志雄 「鯉」
...椎の花のむせ返るような匂いが濃く漂っていた...
豊島与志雄 「波多野邸」
...むっとしてむせ返るような気持に迫られました...
中里介山 「大菩薩峠」
...十九娘のむせ返るような魅力が何んとも言いようの無い匂いを蒔(ま)き散らします...
野村胡堂 「黄金を浴びる女」
...お秋のむせ返るような妖艶なとりなしもさることながら...
野村胡堂 「十字架観音」
...いきなり入るとむせ返るような心持になりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...此時始めて滿面の涙にむせ返るのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
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