...道産子にむごい雪中放牧をさせている人間と同じなのだが...
高見順 「いやな感じ」
...お払い箱になったんで……」むごい親方だとおやじが言ったあと...
高見順 「いやな感じ」
...夫婦は涙に目くらみ、ものも言えず、子供を仏壇の前に坐らせ、わななきわななき御燈明(おとうみょう)をあげ、親子四人、先祖の霊に手を合せて、いまはこれまでと思うところに、子守女どたばたと走り出て、二人の子供を左右にひしとかかえて頬ずりして、あんまりだ、あんまりだ、旦那(だんな)さまたちは何をなさるだ、われはさっきからお前様たちの話を残らず聞いていただ、死ぬならお前様たちだけで死ねばいいだ、こんな可愛(かわい)い坊ちゃま嬢ちゃまに何の罪とががあるだ、むごい親だ、あんまりだ、坊ちゃま嬢ちゃまは、おらがもらって育てるだ、死ぬならお前様たちだけでさっさと死ねばいいだ、とあたりはばからぬ大声で泣きわめいて、隣近所の人もその騒ぎに起き出して、夫婦の自害もうやむやになり、顔役はやがて事情を聞いて驚き、これは大事とひとり思案し、いかにも夫婦の言うとおり、あの夜われら十人のほか部屋に出入りした人は無し、小判が風に吹き飛んだという例も聞かず、まさかわれら腹黒くしめし合せ、あの夫婦をなぶりものにするなんてのは滅相(めっそう)も無い事、十人が十人とも義に勇んであのいそがしい年末の一夜、十両の合力(ごうりき)を気前よく引受けたのだ、誰をも疑うわけに行かぬ、下手な事を言い出したら町内の大騒動、わが身の潔白を示そうとして腹を切る男など出て来ないとも限らぬ、さりとて百両といえば少からぬ金額、あの夫婦の行末も気の毒、このまま捨て置くわけにも行くまい、とにかくこの事件はわれらが手に余ると分別を極め、ひそかに役人に訴え申し、金の詮議(せんぎ)を依頼した...
太宰治 「新釈諸国噺」
...「むごいじゃねえか...
太宰治 「パンドラの匣」
...むごいほどに手を払いのけると...
久生十蘭 「あなたも私も」
...あとは勝手にやるさ」「ここで突っ放すのはむごい」「突っ放すも突っ放さないも...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...むごい心で逃げ落ちさせてしまいました...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...今の世には唯むごい冷かな目の愛だけが残つて居るんだ...
眞山青果 「茗荷畠」
...むごい目に逢うかも知れぬ――そんなこんなで...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...きゅうきゅうむごい目を見せてやりたいのです」「それ真剣か?」「真剣ですとも――本気ですとも――」「ふうむ」と...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...(お前はずいぶんむごいやつだ...
宮沢賢治 「雁の童子」
...こんどの若い男のむごい仕打ちと違つた温和しさがあつたことが...
室生犀星 「神のない子」
...「自分が自殺を決意したのはなにかもっとむごい・もっと苦しい・刑にあいはしないかと恐れたからで...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...五十封度の小麦粉袋を二十袋積んであるよ」とマシウスンがむごいほどずけずけと云いつづけた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...むごい事かいなあ……」「そんでなあ……先生が寝付かっしゃってから...
夢野久作 「木魂」
...むごい神縄(しんじょう)にかけられて山へ送りやられた時から...
吉川英治 「神州天馬侠」
...伏見城の工事場でむごい死に方をなされた草薙(くさなぎ)天鬼様が持っていた品...
吉川英治 「宮本武蔵」
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