...固からの耕地でない證には破垣のまばらに殘つた水田を熟と闇夜に透かすと...
泉鏡花 「遺稿」
...見舞いに行ったのか」歩廊もしだいに人影がまばらになって来た...
梅崎春生 「狂い凧」
...夜はまばらに立った青白い街燈のほかには燈火も見えず...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...植込の多い人家はまばらに点在して...
大阪圭吉 「寒の夜晴れ」
...裏の方は根太板のままでそれに薄縁(うすべり)が処まばらに敷いてあった...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...まばらに立つた林の中からいくらか午後の日影に照された明るい空を仰ぐやうな形になつた...
田山録弥 「草道」
...夜ふけて人通りのまばらになった表の通りには木枯らしが吹いていた...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...燈火(ともしび)まばらにして...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...黄ばんだ葉をまばらに散り残してる枝の下に...
豊島与志雄 「反抗」
...長屋は追々まばらになつて...
永井荷風 「里の今昔」
...まばらに見える漁師の家の屋根...
中里介山 「大菩薩峠」
...弁慶橋で乗り換えてからは、人もまばらに、雨も小降りになった...
夏目漱石 「それから」
...向うではカフェのテラスに人がまばらに腰かけて...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...まばらにしか人影がなかった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...まばらに散らばつてゐる...
北條民雄 「青い焔」
...蒼白(あおじろ)い顔にまばらに髯(ひげ)の延びた陰影の多い表情の中に...
水上滝太郎 「遺産」
...最初は間をおいて、一つ一つ、やがて隙間(すきま)なく、全部ひと塊りになって、ちぎれちぎれの空から、一方が雪崩(なだ)れ落ちると、敵は次第にたじろぎ、まばらになり、散り散りに消え失(う)せる...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
...みすぼらしい頭髪がまばらにひょろひょろと渦を巻いている...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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