...あのだんだら模様のジャケツの色なんかもね」まさかその噂を助長させる目的で...
梅崎春生 「Sの背中」
...まさか往復とも歩いた訳ではないでしょう」「それが歩いたのです...
江戸川乱歩 「鬼」
...空中へ逃げだすなんて、いかにも二十面相らしい、はなやかな思いつきですから、まさか、それがうそだろうとは、考えもおよばなかったのです...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...手製の麺麭(パン)を腰にさげて(太郎左衛門はまさかの時米の飯なぞはまだるつこくて堪らないからと言つて...
薄田泣菫 「茶話」
...しかしまさか新宿が今のようになろうとは誰しも予測し得なかったから...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...まさか、いい旦那がついたから、とも思いませんが、私は花江さんの通帳に弐百円とか参百円とかのハンコを押すたんびに、なんだか胸がどきどきして顔があからむのです...
太宰治 「トカトントン」
...来る人来る人をつかまえて一ぺんは泣かないと済まないんだから」「それでもまさか...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...私も幾許(いくら)何でもまさか其様なことは無いであろうと思っていたが...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...まさか先生のしゃべりもしないことを書き立てはしないですもの...
徳田秋声 「仮装人物」
...まさかお組は、焼きも捨てもしたはずはない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まさか二千両の大金を持出すような不心得者があるはずはなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――まさか淡島様のお堂を掻き廻したんじゃあるまいな」「そんなタチの悪いことはしませんよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まさか銚子の伯母さんのところへ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まさか四十面(づら)をさげて……お勢には……シッ跫音(あしおと)がする...
二葉亭四迷 「浮雲」
...まさか、あれほどの賛同の意を表しておいて、いざとなつて、彼等は急にてれてしまつたんぢやあるまいな?」石塔の傍にロシナンテの轡を従者にとらせてぬつと立つてゐる銀色の鎧を看た老騎士が不平さうに唸りました...
牧野信一 「馬上の春」
...しかしまさか現(うつつ)の意識でそれを信ずる程の詩人にもなれなかった...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...まさか、にせもののお妃がベッドにねていようなどとは、夢(ゆめ)にも知らなかったのです...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「にいさんと妹」
...この小六正和(まさかず)というのは...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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