...檐(のき)傾き壁くずるというほどならねど、位置が位置とて古木森々として昼さえ人足まれなれば、夜は一層もの寂しさ言わん方なきに、このほどよりその堂の後方にて、夜な夜な異様のなき声すとて大評判となり、住職渡辺某はじめ、必定(ひつじょう)世にいう化け物とやらんいう怪物ならんと、宵より衾(ふすま)を打ちかぶりて臥(ふ)すほどなりしが、ツイ四、五日前の夜のことなりとか、たまたま近所の若者十四、五名、一杯機嫌のおもしろ半分、今夜こそは西方院の化け物を退治しやらんと、手に手に斧(おの)、鉞(まさかり)、棍棒(こんぼう)などを取りつつ、台所なる炉に榾柮(ほた)折りくべて団欒(だんらん)し、イザござんなれと待ち構うるとは知るや知らずや、夜も深々と更けわたる真夜中ごろ、果たして堂後に化け物の声すと聞くやいなや、一同スワこそと左右前後より滅多打ちにうちたたきたるに、なにものか手ごたえせるより、「手燭(てしょく)よ、松明(たいまつ)よ」と灯をよび照らし見れば、これなん、年久しく伽藍にすみし一老大貂にして、背中のみ黒くほかの三分の二は白く、一見ゾッとするばかりの怪獣なりしに、さすがは血気の若者ども、そのまま料理して下物(さかな)となし、酒は住職のおごりとなし、舌鼓して食い尽くせしとはなかなかの快談にこそ...
井上円了 「おばけの正体」
...まさかここまであいつが尾行していようとは考えられませんが...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...まさか、うえ死には、させやしないからね...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...まさかそんな馬鹿なことがと思う一方では...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...「まさか、奥様、あなたと私とのこと、御存じないんでしょう?」「多分ねえ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魔性の女」
...まさか今なおそんな事情が続いているのではあるまいね...
大杉栄 「獄中消息」
...でも、北さんだって、まさか、――」「いや、だから、北さんに相談してみるというのです...
太宰治 「故郷」
...まさか彼が生(せい)を見捨(みす)てようとは思わなかった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...」まさか……と思って私は...
豊島与志雄 「白日夢」
...「あんなに遅くはならないつもりだがね」たまさかの夫の留守に...
夏目漱石 「明暗」
...まさか家の中へ男を引入れるわけに行かないんでしょう」「主人は?」「さァ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まさかそんな事態になろうとは……アイダがはっとして立ち上がった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...まさか! といふ調子を露はして問ひ返した...
牧野信一 「蔭ひなた」
...まさかお父上様の武士も廃りは致しますまい」聞いた老人元気よく...
山中貞雄 「中村仲蔵」
...まさか不得心ではあるまいな」家老にこう云われて...
山本周五郎 「竹柏記」
...君のお腹の中をくぐッたの」「まさか」と...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...まさか? とのみで悠々としていた...
吉川英治 「三国志」
...まさか、握り飯を売るわけでもあるまいが、とにかく、喰べ物屋には違いない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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