...その暗い処に母とお末とが離れ合つて孑然(ぽつねん)と坐つて居た...
有島武郎 「お末の死」
...おくみはおかみさんがぽつねんとかけてゐられる椅子のところに彳(たゝず)みながら...
鈴木三重吉 「桑の実」
...……私にすぐきてほしいというのでいってみたら誰もいないでひとりっきりぽつねんとねていた...
中勘助 「妹の死」
...時たま一人孑然(ぽつねん)と貸間の二階に寝ることがないでもないが...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...三吉はまるで木偶の棒のやうにぽつねんとしてゐた...
中村地平 「悪夢」
...こんなところにぽつねんとしているのもおかげがねえ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...彼らの仲間はそういう日と夜を、ぽつねんと迎え、ぼっそりと見送っていたのである...
本庄陸男 「石狩川」
...ぽつねんと壁際に坐っているのを...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...ワシリー・エロシェンコがさびしそうにぽつねんと住んでいた...
宮島資夫 「四谷、赤坂」
...一人でぽつねんと芝の枯れたのを植木屋が焚火している...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...織田信秀(おだのぶひで)や、三河の松平や、駿府の今川家などの、勃興勢力(ぼっこうせいりょく)のなかに挟まれて、ぽつねんと、島のような存在でありながら、そのどれからも併呑(へいどん)をまぬがれて、蜂須賀党が蜂須賀党として、土豪ながらも四隣に屈せずにいられるのは、遠く、稲葉山の居城から、斎藤道三秀龍(どうさんひでたつ)というものの睨みがきいているお蔭でもあった...
吉川英治 「新書太閤記」
...ここにぽつねんと孤立のすがたになった...
吉川英治 「新書太閤記」
...ぽつねんと取り残されていた...
吉川英治 「親鸞」
...ちょうど浮御堂(うきみどう)のように木の間の中にぽつねんと建っているが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...牛若は、ぽつねんと、坐ったきりであった...
吉川英治 「源頼朝」
...ぽつねんと味気ない顔して...
吉川英治 「宮本武蔵」
...継子(ままこ)のようにぽつねんと在って...
吉川英治 「宮本武蔵」
...のこる彼女は日がな一日ぽつねんとして...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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