...二つの黒い穴はぼんやりとした恐怖の表情を示して空を見つめていた...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...それにぼんやりとした疲労があつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...何にも見も考えもせずふとぼんやりとした瞬間に……夜遅く木下が室を出て行って...
豊島与志雄 「二つの途」
...横を向くと室内はもう薄闇くて外の光を見て居た眼には俄にぼんやりとした...
長塚節 「開業醫」
...坐つた奴等肉瘤(こぶ)で黒くて痘瘡(あばた)あり、緑(あを)い指環を嵌めたよなその眼(まなこ)、すくむだ指は腰骨のあたりにしよむぼりちぢかむで、古壁に、漲る瘡蓋(かさぶた)模様のやうに、前頭部には、ぼんやりとした、気六ヶ敷さを貼り付けて...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...後になり臓器医療となった考えへのぼんやりとした手探りではあるが...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...ぼんやりとした表情で...
久生十蘭 「キャラコさん」
...すべての物象はたがいにぼんやりとした影を投げ合いながら...
久生十蘭 「地底獣国」
...ぼんやりとした眼付きで...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...ことにその何を見てゐるともつかないぼんやりとした目ざしは...
堀辰雄 「おもかげ」
...ぼんやりとした器具類にとつては...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から」
...常に或るもの足りなさやぼんやりとした不安や...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ぼんやりとした美は...
室生犀星 「星より來れる者」
...ぼんやりとしたままでの充実にみちびく胸ふさぐおののきであり...
山川方夫 「菊」
...このぼんやりとしたゆるんだ心理(しんり)の続(つゞ)いてゐる空虚(くうきよ)な時間(じかん)に...
横光利一 「美しい家」
...遠くの方からぼんやりとした...
横光利一 「欧洲紀行」
...例のぼんやりとした乳白色の靄がなければ西方遥かにうっすらとそれら恐怖の峰々が臨めただろう...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...いつの間にかぼんやりとした頭は...
蘭郁二郎 「自殺」
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