...ぼんやりとこちらを見てゐた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...義雄は獨り机に兩肱をつき、ぼんやりと、がらす窓から、狹い範圍の空を仰いでゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その頬に驚きの色が消えるとへんに不可解な笑いが突然ぼんやりと浮び上って来た...
梅崎春生 「日の果て」
...暗がりの中に薄ぼんやりと...
モリス・ルヴェル Level, Maurice 田中早苗訳 「誰?」
...何もかも遠くぼんやりとしてる中に...
豊島与志雄 「悪夢」
...中江はただぼんやりと聞いてるだけだった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...ぼんやりとこし方(かた)をながめながら立っていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...謂(い)はば我々の命の足跡があんまりまざまざとしてゐるといふことはいつたいどういふことなのであらうか今宵ランプはポトホト燻(かゞ)り君と僕との影は床に或ひは壁にぼんやりと落ち...
中原中也 「曇つた秋」
...ぼんやりと行手に浮んでゐる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...街燈にぼんやりと照し出されたその黒い塊の横には...
北條民雄 「道化芝居」
...ビレラフォンは自分の考えに気を取られて、ただぼんやりと、泉に影を落す木の幹や、その枝にからんでいる葡萄のつるを見つめていました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...いかにも懶(ものう)そうな様子をぼんやりと思い浮べているのだった...
堀辰雄 「菜穂子」
...ぼんやりと飲んでゐるのは...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...ぼんやりとH教授の顔を眺めてゐた...
牧野信一 「妄想患者」
...出されたものを大てい喰(た)べつちまうことはできないかしら?」ぼんやりと考へながら...
宮原晃一郎 「蛇いちご」
...かれはまたぼんやりと加茂の流れをみつめていた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...朝の厨(くりや)の用意を、夜のうちにしておいて、ぼんやりと、院の外へ、あるきだした...
吉川英治 「親鸞」
...七人ほどの兵が、顔を見あわせて、ぼんやりと、そこに立ち残っている...
吉川英治 「松のや露八」
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