...其の一晩中行方のしれなかつた芳公が翌日海辺の蠣灰(かきばい)小屋の傍にぼんやりと立つてゐたのを子供が見つけて...
伊藤野枝 「白痴の母」
...ぼんやりとこちらを見てゐた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...操縦士の顔がぼんやりと見えるほどです...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...どの窓も、みんな、まっくらでしたが、ひとつだけ、一階の窓が、ぼんやりと、うす明るくなっていました...
江戸川乱歩 「鉄人Q」
...そこにぼんやりとつったったまま...
江戸川乱歩 「鉄塔の怪人」
...頬の肉にだらりとした曲線を描きながらぼんやりと暖爐の火を見詰めてゐる義男の身體を...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...その時分泣いて別れた女の顔がぼんやりと浮び出して来た...
田山録弥 「船路」
...皆震えながらぼんやりと立っていた...
豊島与志雄 「公孫樹」
...燈火(あかり)がぼんやりと光っています...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼はやがて其竹竿を入口の廂へ立て掛けてぼんやりと立つて此の掛合の後半を聞いた...
長塚節 「芋掘り」
...年齡のせゐか、ひどく人生が虚無的になり、朝々、鷄の聲をきゝながら隆吉は、ぼんやりと、そのひとゝきを無上の境地として過してゐるのであつた...
林芙美子 「崩浪亭主人」
...そういう時には彼も静臥椅子のほとりでぼんやりと...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...ぼんやりと考えしずんでいたが...
久生十蘭 「キャラコさん」
...ぼんやりと窓に腰を掛けた...
牧野信一 「明るく・暗く」
...街燈や飾り窓や色々のあかりがぼんやりと夢のやうに見えるだけになつて...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...湯から上って来た妻はぼんやりと見ているだけだ...
横光利一 「夜の靴」
...三その部屋は、小さな暗室になっていて、周囲(まわり)には真黒い厚ぼったいカーテンが重そうにゆるやかな襞(ひだ)をうって垂下っている中に、小さい赤燈が、ぼんやりと、いまにも絶入りそうな弱い光の輪を描いていた...
蘭郁二郎 「魔像」
...大伯父はぼんやりとして...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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