...枯木のやうな体にはうすよごれた単衣(ひとえ)とぼろを綴ぢ合はせた見るからに重さうなものを着てゐました...
伊藤野枝 「白痴の母」
...はやくあの階段をのぼろうじゃないか」と...
海野十三 「怪星ガン」
...ぼろぼろの股引下(ズボンした)...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...眼を閉じるとすぐにその女のまぼろしが私ののどをつかんでしめつけようと致しますから...
小泉八雲 田部隆次訳 「生霊」
...おぼろげな記憶の中にある面影を理想的なものに作り上げて...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...日の光おぼろに透し来るごとくに……――神曲...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...まぼろしの女の手に握られているガラス壜のうちから...
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...たしかにそこに蕩漾たる春のまぼろしの長酔極みなき紗窗の彼方に浮んでゐるのだ...
牧野信一 「湖の夢」
...もう好からうとおぼろ気に期待してゐた彼の思惑とは凡そ掛け離れて...
牧野信一 「裸虫抄」
...左側の序文は「研究」の中でも屡々いった春のやおぼろのそれである...
正岡容 「小説 圓朝 あとがき」
...ぼろぼろのジャケツの襟を立てたまま...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...母親は今朝はいろいろのまぼろしを見て...
宮本百合子 「悲しめる心」
...運命のおかげでどうにかぼろを出さずにいることをいうのであろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人も馬もおぼろにしか見えない...
山本周五郎 「菊屋敷」
...なにがぼろい儲けや...
山本周五郎 「陽気な客」
...もう目のまえにおぼろの空をおおっている...
吉川英治 「神州天馬侠」
...月もおぼろ、道も夜がすみ、初更(しょこう)はすぎていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...ぼろぼろと湯のわくように涙が畳へ落ちる...
吉川英治 「宮本武蔵」
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