...倉地の力でそれをどうする事もできないらしい事はおぼろげながらも葉子にもわかっていた...
有島武郎 「或る女」
...わたくしはまだ父のいうことがじゅうぶんには会得(えとく)できませなんだがそれでも子供は好奇心が強うござりますし父の熱心にうごかされて一生懸命に聴(き)こう聴こうといたしましたのでこうなんとなく気分がつたわってまいりましておぼろげにわかったようなかんじがしたのでござります...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...而もその古い鞘は銹びてぼろぼろになっていた...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...朧(おぼろ)の門脇に捨てた貝殻に...
寺田寅彦 「嵐」
...ぼろぼろの綿屑の上に...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...同じようなぼろをまとい...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...少し朧(おぼろ)に昇った月を眺めておりました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...きびしい稜角(りょうかく)をよじのぼろうとする意志だ)わたしは人波のなかをはてしなくはてしなくさまよっているようだ...
原民喜 「鎮魂歌」
...此處(こヽ)にはじめて朧々(おぼろ/\)わかれば...
樋口一葉 「曉月夜」
...声もおぼろになって...
久生十蘭 「魔都」
...まぼろしのやうに...
三好達治 「海辺の窓」
...ぼろぼろのじゅうたんのように見えるこの土地は...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...またはまぼろしの連鎖に依ろうとしている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...朧夜(おぼろよ)である...
山本周五郎 「青べか日記」
...親も子もぼろを着て...
山本周五郎 「季節のない街」
...手足を蠢(うごめ)かして藻掻(もが)いている孩児(あかんぼ)の幻影(まぼろし)を見た...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...襤褸(ぼろ)だけが風に靡(なび)いた植物のように動いていた...
横光利一 「上海」
...おぼろな空想の甘味を偸(ぬす)みながら...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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