...ほんの端役(フイギユラント)を勤めるだけだつた...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...人々の顔もどうやらほんのりと色づいて居た...
石川啄木 「雪中行」
...もって事たれりとすべきのみ」ほんの一触か二触で...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...この事件を最後にして私は亜留然丁(アルゼンチン)へまいることになっておりますが……実は明後日出航のサンタ・カタルヘナ号の船室(ケビン)もすでに予約してありますようなわけですが……向うへまいりましてから一度貴方とお打合せいたしまして御迷惑にならぬ範囲で……これはほんの私一個の考えではありますが...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...ほんの少しばかりところどころに茶褐色(ちゃかっしょく)に枯れちぢれた花弁のなごりがくっついていたことと...
寺田寅彦 「B教授の死」
...ホームズはほんのわずかな微細な痕跡から演繹してみせたので...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「患者兼同居人」
...ついこのごろ、ほんの二、三日前、いや、ひょっとしたらまだ昨日あたりかもしれんが、親爺は、グルーシェンカがほんとに冗談でなしにおれと不意に結婚するかもしれないってことをはじめてまじめに(このまじめにという点に気をつけてくれ)かぎだしおったのだ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...ほんの少しばかりなんでして...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それもほんの暫らく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そこからはほんの一丁場の八軒町に向いました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...火傷(やけど)は額から首筋へほんの少々...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「阿波屋さんの皆さんが着くほんの四半刻(よはんとき)ほど前でしたよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ほんの三寸の隙間をも見つけて...
宮本百合子 「一隅」
...柳田家の出身地である栃木県宇都宮からほんの一里半ばかり離れた川っぷちに...
柳田国男 「故郷七十年」
...はるかに狼(おおかみ)が凄味の遠吠(とおぼ)えを打ち込むと谷間の山彦がすかさずそれを送り返し,望むかぎりは狭霧(さぎり)が朦朧(もうろう)と立ち込めてほんの特許に木下闇(こしたやみ)から照射(ともし)の影を惜しそうに泄(も)らし...
山田美妙 「武蔵野」
...ほんのおこぼれを貰っていると思っていたからである...
山本周五郎 「雪の上の霜」
...ただ自分が千鶴子の腕を自分の腕の中にほんの暫く巻き込んだだけではないか...
横光利一 「旅愁」
...――ほんの、座興の企(たくら)み、北条流の宗家じゃとて、そう権式を張っておるにも当るまいて」と、いった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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