...灯影ほのめく庭の紫陽花(あぢさゐ)の風情の云ひがたきなど...
石川啄木 「閑天地」
...胸先(むなさき)に乳(ちゝ)をおさへた美女(たをやめ)の蕊(しべ)かと見(み)える……下〆(したじめ)のほのめく中(なか)に...
泉鏡太郎 「艶書」
...赤ら橘葉がくれにほのめく日なか...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...ほのめく日(ひ)なか...
薄田淳介 「白羊宮」
...ほのめく氣深(けぶか)さや...
薄田淳介 「白羊宮」
...座を挙(あ)げて恋ほのめくや歌かるた明治三十九年一月六日 新年会...
高浜虚子 「五百句」
...わが戀はあさぎほのめくゆふそらにはかなく消ゆる晝の花火か細腰の紅(あけ)のほそひもほそぼそに消ぬがにひとの花火見あぐるほのかなる浴衣の藍の匂より浮き名のたたばうれしからまし東京地圖東京に住んでゐては...
竹久夢二 「砂がき」
...何かしら深いほのめくものが...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...折々は人に憎まれるほど高慢のほのめく...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...鳴くや杜鵑(とけん)のひと聲に五月雨いつかはれ行けばちぎれ/\の雲間よりやがてほのめく夏の月銀輪露に洗はれて我世すゞしとてるものをさめずや哀れをとめごよ...
土井晩翠 「天地有情」
...忘れると危ないよ」「あら」と翻(ひるが)える襦袢(じゅばん)の袖(そで)のほのめくうちを...
夏目漱石 「虞美人草」
...裏町の黄色い空にのこぎりの目立ての音がしている売春の町にほのめく桜 二月の桜水族館の水に浮く金魚色の女の写真牛太郎が蒲団を乾しているはるばると思いをめぐらした薄陽に二階の窓々に鏡が光る...
林芙美子 「新版 放浪記」
...書生部屋(しよせいべや)の戸(と)の隙(ひま)より僅(わづ)かに光(ひか)りのほのめくは...
樋口一葉 「われから」
...朝鮮薔薇は葉大方落ちて返り咲の一輪二輪かすかにほのめく...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...「あきはつる野べのけしきもしの薄(すすき)ほのめく風につけてこそ知れ『わが身一つの』(おほかたのわが身一つのうきからになべての世をも恨みつるかな)」と言ううちに涙ぐまれてくるのも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...口元……夕闇にほのめく蘭麝(らんじゃ)のかおり……血を見て臆せぬ今の度胸を見届けなかったならば...
夢野久作 「斬られたさに」
...そこにほのめく異性の香(か)はこの上もなくなつかしまれた...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
......
横瀬夜雨 「花守」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??