...それがまた末はほのぼのと霞をかけた二条の大路(おおじ)のはてのはてまで...
芥川龍之介 「竜」
...ほのぼのとした悦びを感じたのであった...
上村松園 「車中有感」
...げんのしょうこを煎(せん)じた代用茶を入れてほのぼのと湯気だったのを盆にのせ...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...くぬぎ林はほのぼのと幹を露呈(ろてい)してわが眼底に像を結んだ...
海野十三 「第四次元の男」
...それは乳色(ちゝいろ)の夜靄(よもや)が町(まち)の燈灯(ともしび)をほのぼのとさせるばかりに立(た)ち罩(こ)めた如何(いか)にも異郷(いきやう)の秋(あき)らしい晩(ばん)だつたが...
南部修太郎 「麻雀を語る」
...何がなくほのぼのとしてゐた...
新美南吉 「登つていつた少年」
...ほのぼのとしてそこの空気に浸ってゐることは誠に湯加減がよかった...
原民喜 「四五ニズム述懐」
...どこかほのぼのとした...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...あの匂いだ!あの少女が、身にしめていた、高貴な、そのくせ絡みつくようなところのある、言い表わしようもない、ほのぼのとした、あの香水の匂いだった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...ほのぼのと夜が明けかかると...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「モルグ街の殺人事件」
...ほのぼのとした温かみをたたえている厚い腐蝕土を...
本庄陸男 「石狩川」
...ほのぼのと闇黒に流れ去るのを見た――それは夢のような一瞥だった...
牧逸馬 「運命のSOS」
...ほのぼのと赤い雪洞の光りの下でお葉の読まうとする手紙を聞きかけてゐたたいもお葉も...
牧野信一 「サクラの花びら」
...わざ/\東京から可愛がりに来て呉れるとは……」祝ひ酒でほのぼのとした若者は...
牧野信一 「夜見の巻」
...人生がほのぼのと見え始めて来た時代です...
宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
...ほのぼのと夜の明けるのにうながされて兵部卿の宮は昨夜(ゆうべ)の戸口から外へおいでになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...生きられるものなら生きて見ようと漸(やっ)とほのぼのとした希望が生じ出した...
室生犀星 「姫たちばな」
...雪の上に一すぢ春の路は虹の如くほのぼのとして現れぬ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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