...思ひがけもなく、ひそやかに、ほのかに、夕月の光の如く疑惑の森に匂ひ來る肯定の歡喜よ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...それがほのかに読まれる――紙が樹の隈(くま)を分けた月の影なら...
泉鏡花 「絵本の春」
...青臭い病臭がほのかに漂(ただよ)っていた...
梅崎春生 「日の果て」
...それをほのかに期待できるだけでも...
太宰治 「愛と美について」
...わすれられたざくろが一つ(改作再録)・笹原の笹の葉のちらつく雪・雪ふりつもる水仙のほのかにも・かすかな音がつめたいかたすみ・茶の木の雪のおのがすがた・投げだしてこのからだの日向・どうすることもできない矛盾を風が吹く・つい嘘をいつてしまつて寒いぬかるみ三月十四日まつたく春だ...
種田山頭火 「其中日記」
...ロマン・ローラン昼告ぐる曙(あけぼの)の色ほのかにて...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ほのかに血の色が上つて來たのを私は見た...
中島敦 「環礁」
...野茨(のいばら)とうつぎの白(しろ)い花(はな)がほのかに見(み)えている村(むら)の夜(よる)を...
新美南吉 「花のき村と盗人たち」
...夕明りのほのかに射して来る窓へ寄りました...
野村胡堂 「黄金を浴びる女」
...ほのかに反射し合う真珠色の光や...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...櫻貝のやうな耳と長いまつげとそしてほのかに青い眞珠色の首筋が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ほのかにヘリオトロープの匂いがした...
久生十蘭 「金狼」
...ほのかに動いていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...ごくほのかに時々ものを言う様子に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ほのかに少し見た人の印象のよかったばかりに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...栄二もほのかに聞いていたし...
山本周五郎 「さぶ」
...もののふの戀はほのかにゆかしくあるこそよけれといふ意味のことばがあつたと思ふ...
吉川英治 「折々の記」
...湖水はほのかに、暁の紅(くれない)をうつしてはいたが、まだ所々、かすみが深い、山は暗い...
吉川英治 「新書太閤記」
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