...香(にお)いまでが日本というものをほのかに心に触れさせた...
有島武郎 「或る女」
...霧の上の方の縁(へり)を通して赤くほのかに現れた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...わたしの手には松脂(まつやに)がべっとりついていたのでパンには松の香がほのかにうつった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...あんたの心尽くしはきっとわたしが――手紙も確かに届けるから」ほのかなる笑(えみ)は浪子の唇(くちびる)に上りしが...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ほのかな温かみを呼び起されていた...
豊島与志雄 「孤独者の愛」
...――ほのかに顫へるのもいぢらしくもありました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あなたの感傷は夢魔に酢えて白菊の花のくさつたやうにほのかに神祕なにほひをたたふ...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...一すじの虹(にじ)がほのかに見えだした...
堀辰雄 「楡の家」
...ほのかに秘密の容貌が見えた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...ほのかに脂肪の浮いてゐるやうな紙の上に...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...心もて日かげに向かふ葵(あふひ)だに朝置く露をおのれやは消(け)つほのかな字で書かれたこの歌に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ほのかに明るい空の下でしんと寝しずまっていた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...そこにはほのかな...
山本禾太郎 「仙人掌の花」
...その上に父の骨がほのかな曙色を裡に湛えた燠の姿で並んで来た...
横光利一 「旅愁」
...ますます父の最後の笑顔をほのかに浮き出す灯火のように...
横光利一 「旅愁」
...天皇の乳父(めのと)、吉田定房なども、ほのかに、いっている...
吉川英治 「私本太平記」
...――ほのかにしか明りのとどかぬ破(や)れ窓(まど)のそばへ倚(よ)って...
吉川英治 「新書太閤記」
...けれども憧憬の結晶のようにほのかな...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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