...鰐口(わにぐち)のほつれた紅白のひものもう色がさめたのにぶらりと長くさがったのがなんとなくうらがなしい...
芥川龍之介 「日光小品」
...銀杏返(いちょうがえ)しの鬢(びん)がほつれた...
芥川龍之介 「妖婆」
...ほつれた髮が頬に亂れてる所爲か...
石川啄木 「鳥影」
......
高浜虚子 「俳句への道」
...」と馳(か)け出したために殊更(ことさら)ほつれた鬢(びん)を直しながら...
永井荷風 「すみだ川」
...ほつれた髪の毛を動かすと...
中里介山 「大菩薩峠」
...ぼろぼろにほつれた毛糸の上張りの前がはだけて...
林芙美子 「瀑布」
...ほつれた行李の柳を引き千切って...
葉山嘉樹 「浚渫船」
...そして ふくろから ほつれた 糸が ちらほら イバラに 引っかかっていました...
ベアトリクス・ポッター Beatrix Potter 大久保ゆう やく 「きつねめさんのはなし」
...私はその蒼ざめた額にほつれた小さな渦を巻いている髪を掻き上げてやりながら...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...マザロフがここへ来るときはいつも糸のほつれた古いインバネス外套(がいとう)を着て...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...前の腐れ鯛に対してここには古袴の破れて糸のほつれたるを附けたる作者用意の処なり...
正岡子規 「俳諧大要」
...ネクタイの先のほつれたのを縫ってあげる...
宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
...一緒に人生に歩み入るところの――そして互いに生涯の別れを告げているところの――病みほつれた老人と死につつある老婦ではありませんでした...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...いくらかほつれた糸の切れ端くらいにはありつくことが出来よう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ほつれた髪が額に寂しい翳をつくっていた...
矢田津世子 「女心拾遺」
...――でも少しほつれた鬢(びん)の毛を梳(す)き上げるため...
吉川英治 「剣難女難」
...腹当(はらあて)一つに柄(つか)もほつれた腰刀や...
吉川英治 「私本太平記」
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