...考古學士の家或日房奴(カメリエリ)は我に一封の書(ふみ)をわたしたり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...――凹(くぼ)みの埓(かこひ)の中に寝て、心うゑたる暁の夢よりさめし小羊の群は、静かにひびき来る角の遠音にあくがれて、埓こえ、草をふみしだき、直(ひた)に走りぬ...
石川啄木 「詩」
...そしてまた私を縛するに最もたしかなものだと信じてゐた道徳や習俗を見事ふみにじりました...
伊藤野枝 「従妹に」
...第二は「望むらくはわが言書(ふみ)に記されんことを」である...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...荒あらし霞の中の山の襞この一句のほかにうす黄なる落葉ふみつつやがて來し河のべ原の白き花かも 南部修太郎いかばかり君が歎きを知るやかの大洋の夕べ潮咽ぶ時 南部修太郎しらじらと蜜柑花さく山畠輕便鐵道の歩みのろしも 菊池 寛と芥川が書いてゐる...
小穴隆一 「二つの繪」
...手にとる書(ふみ)を讀みさして...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...さきさまの好意をふみつけにしたことになるのが...
高見順 「いやな感じ」
...精好(せいがう)の緋の袴ふみしだき...
高山樗牛 「瀧口入道」
...おしろを捨てるのもふみとゞまるのも...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...「昔の人の袖(そで)の香(か)ぞする」その文殻(ふみがら)は...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...その時私はぐっと足をふみしめてやった...
豊島与志雄 「蠱惑」
...人道をふみつけにしてなされる戦争なるものは...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...心爲に動き即愚詠八首を以て之に答ふ(其六首を録す)津の國のはたてもよぎて往きし時播磨の海に君を追ひがてき淡路のや松尾が崎もふみ見ねば飾磨の海の家島も見ず飾磨の海よろふ群島つゝみある人にはよけむ君が家島冬の田に落穗を求め鴛鴦の來て遊ぶちふ家島なづかし家島はあやにこほしもわが郷は梢の鵙も人の獲るさとことしゆきて二たびゆかむ播磨路や家島見むはいつの日にあらむ女あり幼にして母を失ひ外戚の老婦の家に生長せり...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...女王の該撒(シイザア)に送れる文(ふみ)に云う...
夏目漱石 「虞美人草」
...竹川のふみ女とクス子来訪...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...彼は足ならしをするように交互に土間をふみしめた...
本庄陸男 「石狩川」
...いくほどもなく余に寄するふみにも誤り字少なくなりぬ...
森鴎外 「舞姫」
...たちまちにして幾千という小みちの間にふみまようのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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