...因辺留濃(いんへるの)の夢でも見てゐるのだと思ふと...
芥川龍之介 「煙草と悪魔」
...或日ふと猶太廓(ゲツトオ)の前を過ぎぬ...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...木のじくにあたる金のふとい柱につりさがっていて...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「雪の女王」
...そのとき僕はふと気がついて...
海野十三 「宇宙尖兵」
...姉さんが行つてしまふと私(あたい)淋しいわ」と甘えるやうに言つて自分の手紙を書くのを見てゐた...
高濱虚子 「俳諧師」
...肥(ふと)った尻(しり)をこっちへ向けている...
橘外男 「雷嫌いの話」
...夫が昨今或る軍需会社に関係し出してから彼女も懐(ふところ)工合がよく...
谷崎潤一郎 「細雪」
...塩で食べてゐたが、辛子漬も菜漬もおしたじがないとうまくないので(といふのも私にはゼイタクだが)、財布をはたいてみたら、一銭銅貨が四つあつた、そこで小さい罎(マヽ)を探しだして醤油買に出かける、途中でその売子さんに逢ふ、ついでだから彼の手数を煩はさないですむので、一杯詰めて貰ふ、一升二十銭といふから、まさに一銭五厘位の支払だ、支払ふとしたら、いらないといふ、あげますといふ、彼は私の風采(破被布に利久帽だ)を見て、おせつたいするつもりらしい、そこで妥協してお賽銭一銭あげて、ありがたく万事解決した、彼は若い鮮人だつた、鮮人から報謝をうけたのはこれが二度目だ、一度は行乞流転中にどこかで鮮人の若いおかみさんから一皿の米をいたゞいたのである...
種田山頭火 「其中日記」
...ふと東京で懇意になった遠縁続きの男に...
徳田秋声 「爛」
...歩き出して、ふと空を仰ぐと、星々が燃えるように光っていた...
豊島与志雄 「ものの影」
...格子の中へ入つたと思ふと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一切の拘束力を無視しなければならないと云ふときの意味であつた...
平出修 「計畫」
...若い娘に參つてしまふと...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...あの煙突と笛の音を思ふと体がすくんでしまふ――と滾しはぢめた...
牧野信一 「熱海線私語」
...「もう、いいかい?」「もう、いいよう……」小さな鬼が、花の中にもぐっている(はなもぐり)という、かわいいコガネムシのように、なの花ばたけをにげていくこえをおっかけていると、ふと、まじかのところに人かげが見えました...
槇本楠郎 「月夜のかくれんぼ」
...もの芽が出たと思ふと...
松本たかし 「松本たかし句集」
...彼はふところ紙を出して涙を拭き...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...――また、狭い小部屋の中で、一輪の花と、一服の茶だけで、その間、戦乱の世の中も、苦悩の人生も、ふと忘れて、濁世(じょくせ)のなかにも気を養うという術(すべ)を、理窟なく覚えていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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