...手あぶりの縁(ふち)に置かれた手の先がかすかに震うのを葉子は見のがさなかった...
有島武郎 「或る女」
...縁(ふち)の所に剥(は)げた所ができて...
有島武郎 「或る女」
...深い悲しみの淵(ふち)に沈んだような気がした...
伊藤左千夫 「奈々子」
...朝顔の苗なだれ出し畚(ふご)のふち六月二十二日 玉藻俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...あまり久しくその坑(あな)の縁(ふち)に留まる訳に行かないので...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...私にはただたわいもなく哀れっぽく悲しくって何か深い淵(ふち)の底にでも滅入(めい)りこんでゆくようで耐(こら)え性(しょう)も何もなかった...
近松秋江 「うつり香」
...貧しい家(うち)が扶持(ふち)とりに里子をとるばかりでなく...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...そろそろ青葉の縁(ふち)を樺に染めかけた大きな樹(かしはのき)の間を縫うて...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...しかし興味あるのはその例外の時である――深い淵(ふち)が...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ほほけた穂が日にふちどつて燦いてゐる...
橋本多佳子 「椎の実」
...泉の縁(ふち)にゐる人物が彼女に言葉を掛ける容子をした――何か願ふやうである...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...両方の耳の上へ鍔(つば)が突き出したような一種のふち無し帽をかぶっていました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...ポトリ涙が目のふちに光った...
正岡容 「小説 圓朝」
...蟒はコツプのふちに盛上つてゐた酒を...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...金色にふちどられた雲の峯の下から...
山川方夫 「その一年」
...扶持(ふち)を与え始めてから一と月そこそこだし...
山本周五郎 「花も刀も」
...窓のふちに手をかけながら...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...掛布団(かけぶとん)の縁(ふち)をぎゅっとひと息に押し込んでくれる...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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