...ふくよかな髪の中に指を突っ込んで激しく頭の地(じ)をかきながら部屋に戻(もど)った...
有島武郎 「或る女」
...ふくよかな体躯に貫禄が具わっていた...
豊島与志雄 「化生のもの」
...すると何かふくよかな匂いが鼻に感じられた...
豊島与志雄 「蘇生」
...彼女はただしなやかな線とふくよかな香りと滑かな肉体とのみであった...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...湯から上つたばかりらしい、血色の良い顏に右の頤の下、ふくよかな線の、頬から喉へ流れるあたりに、ほんの四文錢ほどの丸い痣(あざ)――それも薄紫色(うすむらさきいろ)をしたのが、はつきり見えてゐるではありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...温かいふくよかな肉が波打つやうに顫(ふる)へて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ふくよかな羽根布団にくるまれて...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...ふくよかな顔つきで...
久生十蘭 「西林図」
...ふくよかな腕に頭をもたせかけながら...
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...改めていまここで引用はしないが「菊模様皿山奇談」のまくらにおいてもいかにも美しそうなふくよかな艶ある陶器について一席弁じている...
正岡容 「我が圓朝研究」
...そのふくよかな谷間をこよなく愛する人もある...
松濤明 「山想う心」
...竈の焔(ほのほ)に照り映(は)えてゐる其のふくよかな彼女の横顔を盗み眺めた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...子供の頬や女のふくよかな白いなめらかさに形容されて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ふくよかな瓶を繊(ほそ)い指で擡(もた)げて酌をする姿はいかにも美しい...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...その清らかな胸に波打つふくよかな呼吸……...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ふくよかな肉がつき...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...彼女のふくよかな頬を...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...それらはふくよかな女の乳房一つにも価しない...
和辻哲郎 「転向」
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