...過ぎにしも過ぎせぬ過ぎしひと時に...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...病苦にもそれを忘却に包むひと時がなかったが...
鷹野つぎ 「窓」
...ひと時の隙間なのだ...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...「たしかにこのひとだった」と、ジャンヌはつぶやき、ひと時、呆然(ぼうぜん)と二人のあとを見送っていた...
久生十蘭 「青髯二百八十三人の妻」
...もうひと時も私を離したくないふうでして...
久生十蘭 「雲の小径」
...そういうひと時、深夜の寂寞を破って、並々ならぬ叫び声が銀座四丁目の四角で起った...
久生十蘭 「魔都」
...勒々とした酔ひのひと時を怖れた彼等...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...ひと時の寂寞...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...」男はそう言ながら、ひと時、いかにもいたいたしそうな目つきで女を見た...
堀辰雄 「曠野」
...人氣のない牧場をひと時疾驅したおかげで...
堀辰雄 「春日遲々」
...ひと時、マリナは正気と礼節を失ったかのようだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...さらに私よりひと時代前の人たちは...
正岡容 「寄席行燈」
...秘密の花弁につつまれたあるひと時の私の純潔...
三好達治 「測量船」
...みやこに上られてから四百何十日のあいだにお文おかきあそばすひと時もなかったとは...
室生犀星 「津の国人」
...ひと時の旅路をふり返る余裕も出来て来るのだった...
横光利一 「旅愁」
......
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...おなじ權力の府にゐた人でも、ひと時代前だと、伊藤博文の春畝山人にしろ、木戸松菊や清浦奎堂にしろ、墨いたづらをやるには、やるやうに、官衣を脱いで書いてゐるが、このあひだうちの人々は、陸軍大將何々だの、勳何等何々だのと、肩書いかめしく、詩味も餘裕もなかつたやうである...
吉川英治 「折々の記」
...夜のひと時を自分のランプのほとりで...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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