...ただひとしずくの血のしたたりのようになりました...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「旅なかま」
...一雫(ひとしずく)の風を誘(いざな)う潮の香(か)もないのであった...
泉鏡花 「浮舟」
...壜(びん)の口からお酒を一雫(ひとしずく)と思いましたが...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...貴女の一雫(ひとしずく)の涙を頂かないと...
泉鏡花 「婦系図」
...「私にゃ何にもいわないんだもの……」と思わず襟に一雫(ひとしずく)...
泉鏡花 「海異記」
...――ただ一雫(ひとしずく)の露となって...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...蛙(かえる)の料理にもどこかに俳諧のひとしずくはある...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...流れ出た血のひとしずくを実験用ピペットで吸い取り...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...あゝ朝日!爾(なんじ)の無限大を以てして一滴(いってき)の露に宿るを厭わぬ爾朝日!須臾(しゅゆ)の命(いのち)を小枝(さえだ)に托するはかない水の一雫(ひとしずく)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...人の情に対する感謝の美しい一雫(ひとしずく)を見たいものと思わないではなかったのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...水のなかに紛れ込んだ一雫(ひとしずく)の油は容易に油壺(あぶらつぼ)の中へ帰る事は出来ない...
夏目漱石 「虞美人草」
...やがて瞬(しばたた)く睫(まつげ)を絡(から)んで一雫(ひとしずく)の涙がぽたりと膝(ひざ)の上に落ちた...
夏目漱石 「虞美人草」
...純白なものに一雫(ひとしずく)の印気(インキ)でも容赦(ようしゃ)なく振り掛けるのは...
夏目漱石 「こころ」
...舌(した)をしめらすミルクのひとしずくさえないのだと女(おんな)は話(はな)した...
ダグラス・ハイド Douglas Hyde 館野浩美訳 「クリナーンの御殿」
...大きな雨がひとしずく私の頬にかかってきたので...
林芙美子 「新版 放浪記」
...とんだものが一雫(ひとしずく)...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...幾百年の間いやしき血一滴(ひとしずく)まぜしことなき家の誉(ほまれ)はすくいぬ』といつも軍人ぶりのことばつきあらあらしきに似ぬやさしさに...
森鴎外 「文づかい」
...ブドウ酒をほんのひとしずくのむだけでした...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「三枚のヘビの葉」
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