...ひっそりとした夜更けの往来を...
江戸川乱歩 「一寸法師」
......
高見順 「死の淵より」
...あたしも三味線稽古しとくよってにな」蘆屋に家を持ってからは、大阪にいた時のようには年始の客も来ず、まして二人の妹たちまで留守になるので、近年は正月と云うと、ひっそりとした、間の抜けたような日を送ることになっているのが、夫婦の者にはたまにしんみりしてよかったけれども、悦子はひどく淋(さび)しがって、「姉ちゃん」や「こいちゃん」の帰って来るのを待ちあぐんだ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そういう家がみんなしもたやのようにひっそりとした間口の狭い地味な構えなんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...グラチアはひっそりとした広い庭の中にもどってきた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...また時とすると日の照り渡った麗わしい日々――(ひっそりとした薄暗い部屋のまわりには...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...暫くひっそりとした後...
豊島与志雄 「自由人」
...其晩のひっそりとした情景には余りに不意だったが...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...人はだんだんに去って狭い店先はひっそりとした...
長塚節 「太十と其犬」
...ひっそりとした暮しようで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暗くひっそりとした旧家であろう...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...ひっそりとした死……それは一瞬そのまま鮮(あざや)かに彼の感覚に残ったが...
原民喜 「美しき死の岸に」
...ひっそりとした袋小路の奥にある六室ばかりの古びた平家だった...
久生十蘭 「悪の花束」
...うれしいみたいだ」ひっそりとした秋の風景のなかで...
久生十蘭 「あなたも私も」
...跡はまたひっそりとした...
森鴎外 「渋江抽斎」
...防風林にかこまれた農家のひっそりとした聚落(しゅうらく)や遠く近く点々と茂っている落葉松(からまつ)林のたたずまいなど見るものすべてがどこかに秋のふぜいをもっていた...
山本周五郎 「新潮記」
...午(ひる)さがりのひっそりとした時刻で...
山本周五郎 「契りきぬ」
...そして、いつのまにかシュミーズと白いスカートだけになって寝ていたそのままの恰好で、ひっそりとした、まるで死に絶えたようにひっそりした商家の構内を、ふらふら歩いていった...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
便利!手書き漢字入力検索