...そのひた向きな感情の裏には一と入(しお)脆(もろ)い弱気が心の根を喰(く)っていて...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...ひた向きな異性の熱情を真向(まとも)に感ずるのだった...
徳田秋声 「縮図」
...二十日近くのひた向きな苦心努力にすつかり疲れきつてゐた私は...
「處女作の思ひ出」
...北へ北へひた向きに駆けるのです...
野村胡堂 「江戸の火術」
...地獄への道をひた向きに走るコースを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尾崎一雄君など随分と永い間まことにひた向きなる精進をつゞけて...
牧野信一 「浪曼的月評」
...ひた向きに考えこんでいる自分も一寸おかしかった...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一日も早く帰りたい――師の房の顔を見たい――友の声も浴びたい――と矢も楯(たて)もなく立ってきた彼の気持が、この深夜をも、ひた向きに、京へと足を急がせてきたのであったが、無理だった、体に微熱があるせいか、脚がだるい、鼻のしんが風に痛む立ちどまれば、風は、裾を吹いて、よけいに悪寒(おかん)がしてくるし、果ては、坐ってしまいたくさえなる...
吉川英治 「親鸞」
...ただ念仏の道へひた向きに生きようとする尊い光を加えていた...
吉川英治 「親鸞」
...唯一人の男性へひた向きにかかっていた...
吉川英治 「源頼朝」
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