...平中が例の局(つぼね)のあたりへ行って物蔭にひそみながら...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...木原よりふく風のおとのきこえくるここの臥所(ふしど)に蚤(のみ)ひとついず罪をもつ人もひそみておりしとううつしみのことはなべてかなしきこの寺も火に燃えはてしときありき山の木立ちの燃えのまにまにおのずから年ふりてある山寺は昼をかわほりくろく飛ぶみゆいま搗(つ)きしもちいを見むと煤(すす)たりしいろりのふちに身をかがめつつこの五首の短歌連結のぐあいを見ると...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...しののめの空しらみかゝれば暗き夜にはびこるものおのづからひそみ隠れん...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...俳優たるもの何を苦しんで芸妓の顰(ひそみ)に倣わんとするや...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...炬燵の後ろにひそみ隠れていて...
中里介山 「大菩薩峠」
...蕃人たちはその樹の繁みの間にひそみ隠れていた...
中村地平 「霧の蕃社」
...不治の病がひそみ込んでいたのであった...
中谷宇吉郎 「『団栗』のことなど」
...それで私は天寿の許す限り趙州の顰(ひそみ)にならつて奮励する心組(こゝろくみ)でゐる...
夏目漱石 「点頭録」
...その内部にはきまってさまざまな危険がひそみ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...小柄な女なら支障なくその中にひそみ...
久生十蘭 「海豹島」
...いく年かものにまぎれて筐底にひそみゐし舊詩二章...
三好達治 「一點鐘」
......
室生犀星 「抒情小曲集」
...ひそみ声になってしつっこく紀久子へ話しかけてきた...
矢田津世子 「父」
...反復であってしかもどこかに創造がひそみます...
柳宗悦 「益子の絵土瓶」
...物の蔭にひそみながら帯揚(おびあげ)を解いてその中へ手を入れました...
吉川英治 「江戸三国志」
...「――関羽は千五百をひきいて予山にひそみ...
吉川英治 「三国志」
...華容山(かようざん)の裡にひそみ...
吉川英治 「三国志」
...慈母は陰にひそみ...
吉川英治 「三国志」
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