...私(ひそか)にこんな事を考へて...
芥川龍之介 「煙草と悪魔」
...しかして人生の狭少なる心をもって考うればこの不自由的の学校に在る日月のあまりに遼遠(りょうえん)なりしを見てひそかに疑う者あれども...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...石村は心ひそかに期するところがあって...
豊島与志雄 「擬体」
...物珍しげな眼でひそかにうかがってる間に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...あるひそかな独立的気質を受け継いでいたのである...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それでも卯平(うへい)は心(こゝろ)竊(ひそか)におつぎを待(ま)ちつゝあつた...
長塚節 「土」
...うまくいけば考へてゐたより一まはりだけ大きい鐘ができるかも知れないと鳥右さんはひそかに思つてみるのでした...
新美南吉 「鳥右ヱ門諸国をめぐる」
...ひそかに息づき生命(いのち)はや絶えなんとする...
萩原朔太郎 「厩」
...藤次郎は美代子がN亭に来てから間もなくひそかに恋し始めた...
浜尾四郎 「夢の殺人」
...ひそかに東洋の大乱をねらっているB国海軍...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...楊に対して学良はひそかに害意を懐くようになった...
河本大作 「私が張作霖を殺した」
...ひそかに監禁して...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...心ひそかにこういう神経の過程はどんな工合に踰(こ)えてゆかれるのかと思っていた...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...日本もこれだけの味を出すようになった技術にひそかに驚きを感じスープの皿を傾けるのだった...
横光利一 「旅愁」
...病むものが多くひそかに計らって建てたものであった...
吉川英治 「江戸三国志」
...大坂に在った武蔵を訪うて私(ひそか)に永別の盃(さかずき)を汲み...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...ひそかに自分の独り身を誇っていた――あの人は...
吉川英治 「宮本武蔵」
...いつでもすずやかに、きれいに潔(いさぎよ)く、はっと死ねるという嗜(たしな)みは、どんなに習っても、習いぬいても、容易に習いきれる修行でないことは勿論だが、ゆうべの月から今朝まで歩いて来た己れの身こそ、それを体得し切ったものと、心ひそかに、自分を誇ってさえいたのに――と、武蔵は石の如く神前に突っ立ったまま、じっと慚愧(ざんき)の首を垂れて、口惜し涙が頬を下ってくるのも覚えぬもののように、(過(あやま)った!)と、悔いを心に噛み、(――自分では、玲瓏(れいろう)な身になり切っていたつもりでも、まだ五体のどこかには、生きたいとする血もうずいていたに違いない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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