...もうそこには死生を瞑想(めいそう)して自分の妄執(もうしゅう)のはかなさをしみじみと思いやった葉子はいなかった...
有島武郎 「或る女」
...君は人間の運命のはかなさと美しさとに同時に胸をしめ上げられる...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...あまりに物のはかなさに...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...それはほんの瞬間的に私を襲った一種の「はかなさ」にすぎなかったものを...
谷譲次 「踊る地平線」
...肉を虐げることによって霊を慰める人のはかなさは!霊肉合致とは霊が肉を征服することでなくして肉が霊のあらわれとなることである...
種田山頭火 「赤い壺(三)」
...無一文のはかなさ...
種田山頭火 「旅日記」
...なんだかそこに名状のできない物足りなさあるいは一種のはかなさとでもいったような心持ちがするのを禁ずる事ができなかった...
寺田寅彦 「案内者」
...ひどく彼に人間の肉体のはかなさ...
寺田寅彦 「柿の種」
...生活のはかなさとに...
徳田秋声 「爛」
...老たる母に朝夕のはかなさを見せなければならないゆえ...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...あなたのような危険な人間を如何ともすることの出来ない国家の法律というもののはかなさを思わないわけには行きません...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...人間の運命のはかなさを何か身にしみるように感じさせただけだった...
堀辰雄 「菜穂子」
...人生のはかなさを実証したことに最近逢(あ)った自分は...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...(c)快楽のはかなさは特に誇張する必要はない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...生きていてひとりでいてぽつんとしていて考える……………………はかなさが身にしみてきていっそ...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...この世にあるものすべてのはかなさ...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...ますますはかなさがつのってくる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...従って彼は人性の奥底に「女々(めめ)しきはかなさ」をさえも見いだすに至った...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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