...なまぬるい葉のにおいと陰欝な空気とのうちに...
岩野泡鳴 「耽溺」
...やがてなまぬるい茶を入れて來た妻は...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...少なくも自身にとっては下手(へた)な芸術や半熟の哲学や生ぬるい宗教よりもプラグマティックなものである...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...湯が熱いかぬるいかが...
寺田寅彦 「茶わんの湯」
...何とも知れぬなまぬるい液体の...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...特にその後に長く続いて人を馬鹿にしたようにごとごととぬるい速度で走り去る真黒な貨車を見ていると...
豊島与志雄 「微笑」
...こんな生ぬるい、だらしのない、歯切れの悪い絶叫は、いかに九死一生の場合とはいえ、人はむしろ助けに行く気にならないで、ザマあ見やがれ――と蹴(け)くり返したくなるほどの生温(なまぬる)い、だらしのないものでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...なまぬるい風が、ふはふは蚊帳の裾を波立たしてゐる...
林芙美子 「濡れた葦」
...「……女学校時代のなまぬるい友情や感傷なんかは...
久生十蘭 「キャラコさん」
...ぬるい湯なので気持悪し...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...深廂のぬるい光線をうけて枠ばりの琥珀か何かに針をとおしていられた...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...「手ぬるい手ぬるい...
吉川英治 「三国志」
...「なかなか、そのような、ぬるい人物とは、見受けませなんだ...
吉川英治 「私本太平記」
...――陸(おか)からでは手ぬるい...
吉川英治 「源頼朝」
...ぬるい微風が草をなでているだけの寂寞(せきばく)とした夜のここには...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ぬるい風呂に浸っている頃から耳についていた風は次第に烈しく雨戸を揺るがし何という事なく今夜の酒は飲むだけ次第に気を沈ませてゆく...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...しかしそれは浅い生ぬるい事実に過ぎなかった...
和辻哲郎 「転向」
...まさしく彼は自分の浅い生ぬるい経験から押して...
和辻哲郎 「転向」
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