...葉子は見覚えられているのを恐れるように足早にその前を通りぬけた...
有島武郎 「或る女」
...信吾は少し突然(だしぬけ)に問うた...
石川啄木 「鳥影」
...さすがの僕も腰がぬけたかと思ったほど愕いた)「あの怪物は...
海野十三 「宇宙女囚第一号」
...私はそのうしろについてユダヤ横丁を通りぬけた...
海野十三 「地獄街道」
...このへんに見なれない垢(あか)ぬけのした洋装をしている房枝だったから...
海野十三 「爆薬の花籠」
...地下室をぬけだす相談をしていました...
江戸川乱歩 「鉄塔の怪人」
...間のぬけた顔をした男で...
薄田泣菫 「茶話」
...」滑稽作家はだしぬけに鼻でもつままれたやうに変な顔をした...
薄田泣菫 「茶話」
...あの人はベタニヤのシモンの家で食事をなさっていたとき、あの村のマルタ奴(め)の妹のマリヤが、ナルドの香油を一ぱい満たして在る石膏(せっこう)の壺をかかえて饗宴の室にこっそり這入(はい)って来て、だしぬけに、その油をあの人の頭にざぶと注いで御足まで濡らしてしまって、それでも、その失礼を詫(わ)びるどころか、落ちついてしゃがみ、マリヤ自身の髪の毛で、あの人の濡れた両足をていねいに拭ってあげて、香油の匂いが室に立ちこもり、まことに異様な風景でありましたので、私は、なんだか無性に腹が立って来て、失礼なことをするな! と、その妹娘に怒鳴ってやりました...
太宰治 「駈込み訴え」
...そしてちよつと一杯!夕蝉なけばまた一杯やりたいな!・風がふきぬけるころりと死んでゐる(自弔)七月十日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...鼈甲(べっこう)の留め針が髪からぬけ落ちた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...店のなかをとほりぬけ...
豊島与志雄 「シロ・クロ物語」
...「ぬけ殻のようなものさ」と言われた時に憤然として...
中里介山 「大菩薩峠」
...之と全く異つた有樣を示して居るのは日蓮宗で數字に於ては其侵略の度眞宗の多いのには及ばぬけれど...
原勝郎 「鎌倉時代の布教と當時の交通」
...イングラム孃はアアチをぬけて私共のゐる處へ歸つて來た...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...そこを通りぬけてポクポク埃っぽい道へ歩いて出たら...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...木戸をぬけてそっちへいった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...カーリーの悲劇的な死の衝撃からぬけきらないでいるうちに...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
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