...音曲指南(おんぎょくしなん)の看板にも鵙屋春琴の名の傍へ小さく温井(ぬくい)琴台の名を掲げていたが佐助の忠義と温順とはつとに近隣(きんりん)の同情を集め春琴時代よりかえって門下が賑(にぎ)わっていた滑稽(こっけい)な事は佐助が弟子に教えている間春琴は独り奥の間にいて鶯(うぐいす)の啼く音などに聞き惚(ほ)れていたが...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...ぬくいので藪蚊が来襲してさん/″\だつた...
種田山頭火 「一草庵日記」
...ぬくいので籔蚊が来襲してさん/″\だつた...
種田山頭火 「一草庵日記」
...酔ひどれも踊りつかれてぬくい雨ふるさと遠い雨の音がするけふの道はよかつた...
種田山頭火 「行乞記」
......
種田山頭火 「其中日記」
...ぽか/\とぬくい日である...
種田山頭火 「其中日記」
...往生安楽国!・ほつかりと宵月のある枯枝で・風がでて葉が鳴るゆふべの祈り・春風の豚でうめく・日向の椿がぽとりと水へ・春がきたどろ/\の蓮を掘つてゐる・草の芽乞食が荷をおろした三月一日くもつてはゐるがぬくい...
種田山頭火 「其中日記」
...どこからきたのか鼠の声・わらやねふけてぬくい雨のしづくするあすはお節句の蓬つむと乙女が来た追加二句・お彼岸まゐりの...
種田山頭火 「其中日記」
...ぬくいので何よりだ...
種田山頭火 「其中日記」
...……・きら/\ひかつて売り買ひされるよう肥えた魚孫の手をひきお寺まゐりのさげてゐるはお米・月からこぼれて師走の雨のぬくい音・触れると散るまへの櫨紅葉かな其中一人にして冬ごもり・小春日のさせば障子をあるく虫のかげ十二月廿四日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...ぬくい雨となつた(白船老に)あれもこれもおもひでの雨がふりかゝるバスで通る二月十一日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...水仙の芽かよあれこれ食べるものはあつて風の一日水音しんじつおちつきました茶の木も庵らしくひらいてはちり誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花落葉ふる奥ふかく御仏を観る雪空の最後の一つをもぐ其中雪ふる一人として火を焚くぬくい日の...
種田山頭火 「草木塔」
...雨も春とほく白波が見えて松のまがりやう裸木に一句作らしたといふ猿がしよんぼりぬくい雨となる砂の足あとどうやら晴れてる花ぐもりの水平線・春の海のどこからともなく漕いでくるこれから旅も...
種田山頭火 「旅日記」
...ぬくい/\、ねむい/\...
種田山頭火 「松山日記」
...ぬくいぬくいなあ...
壺井栄 「大根の葉」
...「なんだ、ちっともあったかくないね」「はっは、そうかい」「ぼくたちの先生のポケットは、もっとぬくいよ...
新美南吉 「うた時計」
...「いなごはぬくいところが好きじゃけれ大方ひとりでおはいりたのやろ」のセリフが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...『そんなら十七円五十銭……ぬくい中(うち)……』『ウーム……』と私は腕を組んで考えました...
夢野久作 「近世快人伝」
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