...自分等もぬくい――北海道の雪はしめり氣がないから...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...熱いものをすゝる・食べるもの食べつくしてひとりとりわけてうつくしい葉ぼたんの日ざし・ぬくい夜の赤児へ話しかけてゐる一月七日曇...
種田山頭火 「行乞記」
...病めば長い長い旅・こゝに住みたい水をのんで去る(添作)・あすもあたゝかう歩かせる星が出てゐる・ふんどしは洗へるぬくいせゝらぎがあり(木賃宿)春夜のふとんから大きな足だ□・枯草の風景に身を投げ入れる(改作)四月六日晴れたり曇つたり...
種田山頭火 「行乞記」
...・枯枝ひらふにもう芽ぶく木の夕あかり・春の夜の街の湯の湧くところまで・つゝましく大根煮る火のよう燃える曇り日のひたきしきりに啼いて暮れる三月十二日ぬくい雨...
種田山頭火 「其中日記」
...・ほほけすすきもそよがないゆふべの感傷が月・或る予感、はだか木に百舌鳥のさけぶや・灯のとゞく草の枯れてゐるSよさようなら・ああいへばかうなる朝がきて別れる(改作)石鴨荘草山のしたしさを鶯もなき・月のあかるい水くんでおく・窓からいつも見える木のいつかもみづれる月あかり・月のひかりの、はだか木の、虫のなくや・ひとりで朝からけぶらしてゐる、冬・もう冬空の、忘れられてあるざくろの実・糸瓜からから冬がきた・おちついてゐる月夜雨降る・月の落ちた山から鳴きだしたもの十一月十八日雨はれて曇、ぬくい日だ、また雨...
種田山頭火 「其中日記」
...いやにぬくいことである...
種田山頭火 「其中日記」
...……・きら/\ひかつて売り買ひされるよう肥えた魚孫の手をひきお寺まゐりのさげてゐるはお米・月からこぼれて師走の雨のぬくい音・触れると散るまへの櫨紅葉かな其中一人にして冬ごもり・小春日のさせば障子をあるく虫のかげ十二月廿四日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...午後はぬくい雨となつた...
種田山頭火 「其中日記」
...明け方、雷鳴そして雨声、春雷でもあるまい、冬雷か、ぬくい、ぬくい、ぬくすぎる...
種田山頭火 「其中日記」
...ぬくい、うれしい...
種田山頭火 「其中日記」
...そしてぬくい雨が降りだした...
種田山頭火 「其中日記」
...雨も春とほく白波が見えて松のまがりやう裸木に一句作らしたといふ猿がしよんぼりぬくい雨となる砂の足あとどうやら晴れてる花ぐもりの水平線・春の海のどこからともなく漕いでくるこれから旅も...
種田山頭火 「旅日記」
...ぬくい/\、ねむい/\...
種田山頭火 「松山日記」
...「お父さん、この水ぬくいよ...
土田耕平 「八の字山」
...ぬくいぬくい」そういって腰(こし)のあたりをたたいてみせた...
壺井栄 「二十四の瞳」
...ときどきかれのぬくい舌(した)が手にさわった...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...ほかほかぬくい日が照つてどうやらすこしねむくなる...
水谷まさる 「歌時計」
...『そんなら十七円五十銭……ぬくい中(うち)……』『ウーム……』と私は腕を組んで考えました...
夢野久作 「近世快人伝」
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