...田川博士(はかせ)の部屋の中から例の無遠慮な事務長の高笑いの声をもれ聞いたりなぞすると...
有島武郎 「或る女」
...出し抜けになぞ見たようで?」「なアに...
岩野泡鳴 「耽溺」
...直ちに翌日からまるで「葬式(とむらい)機関車」の奇妙な事件なぞはもう忘れてしまった様に...
大阪圭吉 「とむらい機関車」
...そして職業なぞのことはどうでもいいからあまり心配をしないで...
大杉栄 「獄中消息」
...同級生の會合なぞで一二度行つたことはあつたが一人で登(あが)つたのは初めてである...
高濱虚子 「俳諧師」
...だから行く先なぞはどこでも構わない...
橘外男 「生不動」
...軽妙な敏捷(スマート)さなぞの少しもない...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...やがて左側の大きな欅(けやき)の樹陰に色褪(あ)せた旗を立てて一軒の百姓家が往来も稀れな通行人のために草鞋(わらじ)三文菓子なぞを商っている前へと出る...
橘外男 「逗子物語」
...些(ちと)好(よ)さそうな養蚕(かいこ)傭(やとい)の女なぞは...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...廊下には附添の婆さんなぞの...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...それ等の事から年中時令の中でわたしは冬至の節をば正月や七夕や中秋彼岸なぞよりも遥に忘れがたく思う事が多い...
永井荷風 「写況雑記」
...「ぜゞなぞほっとき...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...このごろ谷津の斜面(なぞえ)にあるお邸の高楼(たかどの)に...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...椽の下なぞを覗いて見る...
二葉亭四迷 「平凡」
...いわば堅い鑿(のみ)でなぞられ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...私なぞ悪文のかんむりは疾(と)うにつけられているし...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...妙な神様や気合術なぞに凝り固まって音(おと)なしくなったなぞいう例がいくらもある...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...町の衆へ上げるお酒なぞは...
吉川英治 「私本太平記」
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