...――ひとりさりげなき面持、つつと往きすぐる若き唄ひ女(め)、あと叫び、つとこそとまれ、ふくら脛(はぎ)肌しも斷れ、踝(くるぶし)はにじみぬ、朱(あけ)に...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...とまれこうした事実があきらかになれば...
高群逸枝 「女性史研究の立場から」
...』768 III 39.姿は神に似るパリス、答へて彼に陳じ曰ふ、『咎なきものを咎めんと念ずる汝、ヘクトール、さきにはとまれ、戰場を今に逃るゝわれならず、 775卑怯の者とわが母はわれを産みしにあらざりき、舟のめぐりに戰鬪をなすべく汝、わが軍を激せし以來こゝにたち、アカイア勢を敵として弛まずわれら戰へり、汝の探す戰友は討たれぬ、ひとりヘレノスと(彼は勇將)――その友の 780デーイポボスは長槍に手は射られしも死を脱れ、クロニオーンの助け得て、この戰場を立ちさりぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 295されど陣中剛勇と稱するものは立ちとまれ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...とまればとまるのだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...十七姫御が旅に立つそれを殿御が聞きつけてとまれとまれと……思わず知らず...
中里介山 「大菩薩峠」
...とまれかくまれブラ公をブラの儘で野放しにしてゐるといふことは...
中原中也 「引越し」
...※とまれ不消化な複雑くらゐなら...
中原中也 「よもやまの話」
......
野口雨情 「野口雨情民謡叢書 第一篇」
...さればらくだと思いて拾いたる願人(がんにん)坊主が、やがて、かつがれながら後棒のらくだの兄弟分と何やら話すを聞きとがめ、先棒の紙屑屋、振り返りて、『喧嘩するなイ』とたしなめるなぞ、三代目にはなき型にて、むらく創案にや、前人の踏襲にや、とまれ、自然なる錯覚ぶりが、げにや無類の諧謔(かいぎゃく)なりけり...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...と怪みつぶやきて立ちとまれば...
正岡子規 「花枕」
...袖(そで)濡(ぬ)るる露のゆかりと思ふにもなほうとまれぬやまと撫子とだけ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...まめの葉はとまれと唱える...
柳田国男 「年中行事覚書」
...とまれ、上下とも、多少の不良性をおびない者はなく、真ッ直に世を歩けば、この春の、浅野内匠頭(たくみのかみ)になるとは――あの事件についても、世間のよくいったことだった...
吉川英治 「大岡越前」
...とまれ、尊氏は敵に数倍する兵を計算に入れて、ひとつの人海戦術に出た...
吉川英治 「私本太平記」
...とまれ人と生れたからには...
吉川英治 「私本太平記」
...したがって、人間は粗野であり、学問はうとまれ、ただ、権力だけが、なによりも絶対的な威力をもってものをいう...
吉川英治 「親鸞」
...十数年という永い間、とまれ、将頼以下の、父(てて)なし子、幾人も、あのように、無事、成人させて来たのは、たれの情けか」「…………」「そればかりじゃない...
吉川英治 「平の将門」
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