...そして、義雄に向ひ、「あなたの革鞄(かばん)も、とても、持つて行けますまいから、おあづけになつたら――?」「さうでせう、ね」と、義雄は受けて、中の物をより分けにかかる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...彼とても不審をいだかないではいられなかったにちがいない...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...問屋を相手とする場合とても...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...とてもこの建暦二年の御時勢の華やかさとは較べものにも何もならぬものでございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...とても幸福に暮している...
太宰治 「正義と微笑」
...「ハムラ! もう仕事もこれでおしまいです! 類人猿がいたのではとてもこれ以上奥へは踏み込めません!」と...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...詩人平素独り味(あじわ)い誇る処のかの追憶夢想の情とても詩興なければ徒(いたずら)に女々(めめ)しき愚痴(ぐち)となり悔恨の種となるに過ぎまい...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...「右之者、先年より島田左兵衛尉へ隠従致し、種々姦謀(かんぼう)の手伝ひ致し、あまつさへ、戊午年以来種々姦吏の徒に心を合はせ、諸忠士の面々を苦痛致させ、非分の賞金を貪(むさぼ)り、その上、島田所持致し候不正の金を預かり、過分の利息を漁し、近来に至り候とても様々の姦計を相巧み、時勢一新の妨げに相成候間、此(かく)の如く誅戮(ちゆうりく)を加へ、死体引捨にいたし候、同人死後に至り、右金子借用の者は、決して返弁に及ばず候、且又、其後とても、文吉同様の所業働き候者有之(これあり)候はば、高下に拘らず、臨時誅戮せしむべき者也」「旦那、わかりました、こりゃ、わっしの首じゃございません、猿の首でございますよ」「猿! いやあ、猿じゃない、やっぱり人間だろう」「いえ、猿と申しましても、野猿坊(えてぼう)のことじゃあございません、目明しの猿の文吉て奴で、ずいぶん鳴らしたもんでございますが、こんなことにならなけりゃいいと思いましたが、果してこうなるたあ因果な話で、いささかかわいそうでもございますよ――まあ、お聞き下さい、こいつの素姓というのは、こういうわけなんです」と轟の源松は、不意に見せられた生首が自分の首でなくて仕合せ、その素姓がすっかりわかってみると、持前の度胸を取り直して、今度は逆に、説法する気になったものらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...」「もし話したのだつたら、とても嚴肅な、おとなしい容子でやるんで、私はその意味を取り違へたことでせうね...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...「ひどい、とても難しそう...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...急送文書をとても見たがっている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...あんたにとても悩まされているようだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...とてもあなたのことが気になってなりません」と夫人は言うのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...これとても『清悦物語』の出現よりは前であった...
柳田国男 「雪国の春」
...「とてもそんな勇気はありゃあしねえ...
山本周五郎 「落葉の隣り」
...とてもブッキラ棒だったよ...
夢野久作 「少女地獄」
...これは男子学生とても同様である...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...とても望(のぞ)まれねえことなんでございます」「いや...
吉川英治 「神州天馬侠」
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