...彼女は或る甚(はなは)だ面目ないことを仕でかし...
海野十三 「十年後のラジオ界」
...葬儀がすんでから半月ばかりたった頃ですが...
豊島与志雄 「碑文」
...「でかが来るかも知れねえ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その犬はお前さんとこの犬ですか」「これはお松さんの犬ですよ」「お松さんは、どこからその犬をつれて来ましたか」「どこからですかねえ、江戸にいる時分からついていましたよ」「そうですか」「はい、でかいけれど、おとなしい犬ですよ」「お前さんは、沢井でしたね」「はい」「沢井の机の若先生は、今どちらにおいでになりますか」「竜之助様ですか」「はい」「あの人はどこにおいでなさいますかねえ」「奥様は……」「奥様というのは?」「あれ、その、お浜様といって」「ああ、あのお浜様か、ありゃ、江戸でお死になされた」「おやおや、それはお気の毒な」「気の毒なことをしましたよ」「お子さんは……」「お子さんというのは、あの郁太郎(いくたろう)さんのことだろう」「ええ、郁太郎さんと申しましたかね」「あれは今、おたっしゃで、沢井におりますよ」「そうですか、お父さんも、お母さんも、おいでなさらねえでは、さだめて、不自由なことでしょうねえ」「それでも、お松さんが世話をしてくれるから助かります」「それから、和田の宇津木様はあれからどうなりましたか」「あそこもいけませんねえ」「文之丞様があんなにおなりなすって、あとはどうなりました、お江戸へ出ておしまいなすったそうですね」「え、え」「文之丞様の弟御に兵馬様という方がありましたが、あの方は時々お見えになりますか」「あれから一遍も、こっちへは帰って来られねえようですよ」「机の大先生(おおせんせい)は?」「とうの昔になくなりました」「おやおや、それはお気の毒な」「机のお家も、宇津木も、どっちもいけませんが、机の方はお松さんがよく郁太郎様を世話しているし、宇津木の方も兵馬様の代になれば立ち直ることでござんしょう」「お松さんという子は、どこの人ですか」「お松さんは江戸の人ですよ」「机のお家の御親類ですか」「親類ですかどうですか、そのことはよく知りませんが、お松さんはいい人です、あの人がいる間は、わしもこの土地を離れられませんねえ」「そうですか、お前さんはお松さんと仲がいいかい」「そりゃ、お松さんは無ければならない人になっていますよ」「もし、そのお松さんが、江戸へ出るとか、他国へ行くとかすれば、お前さんはどうしますね」「その時は、わしも一緒に行きますね、お松さんがお嫁入りするようなことになれば、わしは下男としてでもあとをついて行きますが、あの人はお嫁入りなんぞはしないでしょうと思います」「では、お松さんという子が、この土地にいつく限り、お前さんもこの土地を離れないのだね」「ええ、その通りです」「お松さんは、ほんとうにこの土地にいたがりますか、よそへ行きたがりませんか」「どこへも行きたがりません、行きたがっても、もう、ちょっと動けないでしょう」「どうして」「あの人は、人様の子供を二人も自分の手で育てていますからね...
中里介山 「大菩薩峠」
...いったん生梟(いきざら)しにまでかけられた自分の古瑕(ふるきず)が...
中里介山 「大菩薩峠」
...それでかうした音樂の場合...
萩原朔太郎 「宿命」
...花でかゞやかしく飾られた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...私はその夜下婢に負はれてわが家をでかけるとき...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...男はだるそうな目でかれをじろじろ見ていたが...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...無理ないよと云って下さるでしょう? 字でかくことは話すこと...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...今までからこうした好意の贈り物を受け馴(な)れていたことであって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...胃の腑はちっぽけなくせに眼玉ばかりでかいのではあるまいか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いっしょにそこをでかけました...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「灰かぶり」
...ところが中央の文化がすすんでから...
柳田国男 「母の手毬歌」
...伝右衛門だけ町へでかけていった...
山本周五郎 「風流太平記」
...保養にでかけるんだ」「ばかなことを云う」と十左は拳(こぶし)で額の汗を押しぬぐった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...其(その)事を云つて巴里(パリイ)でかこつた相手の事も思ひ出される...
與謝野晶子 「帰つてから」
...想像の糸でかがっていた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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