...雨が降ってたかね?」「雨? 何を言ってんですかい」運転手はせせら笑った...
梅崎春生 「記憶」
...殺してしまえ!」覆面のない十数名の団員はてんでに喚(わめ)きながら...
海野十三 「流線間諜」
...てんでに冗談をいいあったり...
江戸川乱歩 「算盤が恋を語る話」
...この方には趣向を主として実物には重きを置きませんからまず百円の見積り……たりない所は各自(てんで)の所持品を飾っても間に合わせるという考えです...
高村光雲 「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」
...てんでお気附きにならないらしいので...
太宰治 「男女同権」
...何が悲哀(トリステサ)かってんでさあ...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...船客達もてんでにその室に入つたらしく...
田山録弥 「海をわたる」
...てんで始めから当てにしていない人がかなり多数である...
寺田寅彦 「一つの思考実験」
...てんで耳へは入りません...
中里介山 「大菩薩峠」
...(くわいぐわい)などといふ名前は昔からてんで聞いたこともなかつたやうな顏をして樂しげに働いてゐる...
中島敦 「盈虚」
...「その素直なのは誰だい」「千住(こつ)の大橋屋の濱夕てんで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...秩序や清潔の点では到底(てんで)較べもので無い...
羽志主水 「監獄部屋」
...話はまた違うんです! 私は彼女にはてんで会えませんでした...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...このひとはあたしのことなんかてんでかんがえていなかったんだ...
久生十蘭 「だいこん」
...けれども各自(てんで)に一時間半(じかんはん)か其所(そこ)いら走(はし)り續(つゞ)けた時(とき)に...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...死んでいるかもしれないなんていう考えはてんで起こらなかった」こう何事につけても悪いはうばかり見るのは...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...てんでに出て何か買って来て...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...彼女のほうはてんで気にもかけず...
山本周五郎 「青べか物語」
便利!手書き漢字入力検索