...だしぬけに「俺は強いぞ」と云ふ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...「うん――」真弓は、だしぬけに、男爵の首ッ玉に噛(かじ)りつくと、呀(あ)ッという間に、チュッと音をさせて、接吻(せっぷん)を盗んだ...
海野十三 「空襲葬送曲」
...だしぬけに幽斎を後から玄関の式台の上に突き倒させた...
薄田泣菫 「器用な言葉の洒落」
...だしぬけに耳へささやかれたのである...
太宰治 「陰火」
...だしぬけに碾茶の茶碗を私の方へのべてよこした...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...だしぬけにYさんがHを連れて来た...
種田山頭火 「其中日記」
...そしてまただしぬけに向うに行つて了はうとは少しも思はなかつたのではないか...
田山録弥 「あさぢ沼」
...だしぬけに、何の予告もなしに、三時間の中に、もはやかれはこの世にゐないといふことを耳にした時の驚きと悲しみ――否それよりもその輝かしかつた恋を、睦しかつた恋を、楽しかつた恋を、誰にも打明けることが出来なくなつた苦しみを百合子は今でもをりをり繰返した...
田山録弥 「百合子」
...帽子かぶりし影法師だしぬけに夫婦の眼前(めさき)に落ち来たりぬ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...きみを見送りにさ」わたしはだしぬけに話へ口を入れた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...あやうく取り落とすところだったよ」わたしはだしぬけに大きな声でこういった...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...依子はだしぬけに立ち上って...
豊島与志雄 「子を奪う」
...だしぬけに云い出されて...
豊島与志雄 「反抗」
...だしぬけに久美子のほうへ振返った...
久生十蘭 「肌色の月」
...だしぬけにドーンと腰の番(つが)を突かれた...
正岡容 「小説 圓朝」
...むすめの死げえをだしぬけに見りゃあ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...其時潜門はだしぬけに外から開けられて...
森鴎外 「金貨」
...だしぬけに一人の皺くちゃのお婆さんが飛び出して来て...
柳田国男 「故郷七十年」
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