...たまには、せめてにこにこした顔くらい見せたっていいじゃありませんか...
相馬泰三 「六月」
...静(しずか)に居団扇(うちわ)の風もたまに好(よ)し箱庭の反(そ)り身(み)の漁翁君に如(し)かず忘れられあるが如くに日向水(ひなたみず)夫婦(めおと)らし酸漿市(ほおずきいち)の戻りらし七月十日 七宝会...
高浜虚子 「六百句」
...さて、将軍家に於いては、僧正さまの所謂お茶のお徳によつて、御病気がおなほりになると、すぐに、れいの風流武士の面々を召集めて、お船遊びやらお花見やらにおでかけになり、たまには、おひとりでこつそり御ところを脱け出し裏山などにおいでになつて、あとで大騒ぎをしてお捜し申す事もございましたほどで、この建保二年から三年にかけて、ほとんど連日の大地震、それに火事やら、大風やら、或いは旱魃に悩むかと思ふと、こんどは大雨洪水、また実に物凄い雷鳴もしばしばございまして、天体に於いてさへ日蝕、月蝕の異変があり、関東の人心恟々たるもので、それにつけても将軍家のそのやうな御風流の御遊興は非難せられ、この天変地異は、すべて将軍家御謹慎有るべしとの神々のお告げなりと御占ひを立てるものさへ出てまゐりまして、或いはまた、御ところのお屋根におびただしい鷺の群が降り立つたのを見て、これただ事に非ず、御ところに重変起るの兆なりといふおそろしい予言をする者もございまして、その時には、将軍家は相州さまにすすめられて御ところをのがれ、相州さまのお宅にお移りになり、それから七十五日間も相州さまのお宅で窮屈な御暮しをなさつたのでございましたが、重変も何も起りませんでしたので、また御ところへお帰りになつたなどといふ、何がなんだか、わけのわからぬ騒ぎもございましたほどで、これといふのも、すべて、将軍家の御趣味に御惑溺の御日常が、ひどく皆の目ざはりになつてゐるせゐではなからうかとお傍の私たちにも思はれました...
太宰治 「右大臣実朝」
...思いませんけれども、それならば、たまには私にも、優しい言葉の一つ位は掛けてくれてもよさそうなのに、あの人は、いつでも私に意地悪くしむけるのです...
太宰治 「駈込み訴え」
...たまには春久も、こっそり二階に上り込んでいることがあるとも云う...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...たまにゃ外へも出て見るといいのよ...
徳田秋声 「足迹」
...たまには成功さしてやらないと...
豊島与志雄 「自由人」
...たまにお客に来た人とはちがいますもの」「だから...
中里介山 「大菩薩峠」
...「たまに、慰めようと思って、少し奔走すると、こんなことになるし...
夏目漱石 「三四郎」
...たまに通らなければ...
夏目漱石 「明暗」
...たまには出かけてみちゃどうです」ガラッ八の八五郎は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たまにはこんな美しい〈時(ルウル)〉だってあるのに...
久生十蘭 「だいこん」
......
細井和喜蔵 「泥沼呪文」
...何にもしないのがたまにするからなのね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...たまにはああ悪かったぐらい思うこともあるんですか」「今夜は御機嫌ななめらしいな」源次郎は苦笑しながら...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...「おめえたまには本気で口がきけねえのか」「本気でって...
山本周五郎 「さぶ」
...雅楽頭らのあたまにはすぐ「原田甲斐」の名がうかぶに相違ない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...つまりたまにより大揺れに逢わないからである...
横光利一 「欧洲紀行」
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