...たとえて申せば、妖怪学は迷信のバクテリアを殺す消毒剤でありて、余はこれを専売する薬店でありますから、この病にかかりたる人は、一服用いてその効験を試みられたきものであります...
井上円了 「おばけの正体」
...子供を有(も)っていない婦人が人形を弄(もてあそ)ぶことがありますが、たとえて言えば、子供を愛する心は信仰で人形を愛する心は迷信であります...
伊波普猷 「ユタの歴史的研究」
...たとえていうと、箱根山塊を三百メートル四方ぐらいの大きさに人造的に縮小した大仕掛けの箱庭とでもいった方がハッキリ博士邸の庭園を説明しているだろう...
海野十三 「地球盗難」
...物にたとえて見れば...
丘浅次郎 「誤解せられたる生物学」
...また他の物にたとえて言えば...
丘浅次郎 「人道の正体」
...ちょうどそのときの地平線を境界にして向う側にそのまま倒したような――もし紙にたとえて言えば...
高見順 「いやな感じ」
...この松島を西湖にたとえていたようですよ...
太宰治 「惜別」
...フォークトはその結晶物理学の冒頭において結晶の整調の美を管弦楽にたとえているが...
寺田寅彦 「科学者と芸術家」
...その表面には微細な灰粒がたとえて言えば杉(すぎ)の葉のように...
寺田寅彦 「小爆発二件」
...たとえて言わば奥州街道(おうしゅうかいどう)から来るか東海道から来るか信越線から来るかもしれない敵の襲来に備えるために...
寺田寅彦 「天災と国防」
...たとえて言えば、銀行の頭取が投資に失敗して預金者に迷惑をかけるようだったら、ぞうり一足まちがわない番頭さんのほうが偉いというようなものだ...
永井隆 「この子を残して」
...いざと云う時に女の足台を取りはずすと云う趣向なのです」「たとえて云うと縄暖簾(なわのれん)の先へ提灯玉(ちょうちんだま)を釣したような景色(けしき)と思えば間違はあるまい」「提灯玉と云う玉は見た事がないから何とも申されませんが...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...たとえて云えば、「また引越(ひっこ)しをされたようですが、今度は、淋(さび)しいところらしいですね」このように、誰かが私達に聞いてくれるとすると、私はいつものように楽(たの)し気(げ)に「ええこんなに、そう、何千株と躑躅(つつじ)の植っているお邸(やしき)のようなところです」と、私は両手を拡(ひろ)げて、何千株の躑躅がいかに美しいかと云う事を表現するのに苦心をする...
林芙美子 「清貧の書」
...たとえていうならば小鹿のような形のいい脚を前後に放り出すようにして...
久生十蘭 「魔都」
...たとえて見れば船の舳が濤をしのいで前進してゆく...
宮本百合子 「幸福の感覚」
...落ちそうな笹(ささ)の上の霰(あられ)などにたとえていいような艶(えん)な恋人を持つのがいいように今あなたがたはお思いになるでしょうが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...緒(お)に貫いたシダマの珠にたとえて...
柳田国男 「海上の道」
...Nは骨董品に校長をたとえてその人身を攻撃し出したので演壇から引摺り下ろされNも放校処分となった...
山之口貘 「私の青年時代」
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