...たてに、斜(ななめ)に、上に、下に、散り、飛び、煽(あお)ち、舞い、漂い、乱るる、雪の中に不忍の池なる天女の楼台は、絳碧(こうへき)の幻を、梁(うつばり)の虹に鏤(ちりば)め、桜柳の面影は、靉靆(あいたい)たる瓔珞(ようらく)を白妙(しろたえ)の中空に吹靡(ふきなび)く...
泉鏡花 「薄紅梅」
...私はたとへ口がたてにさけても左様(さよう)のこと申せし覚えこれなく候故...
伊藤野枝 「書簡 蒲原房枝宛」
...彼等は祖先からの由緒をたてに...
伊藤野枝 「転機」
...艇長ははじめの誓約(せいやく)をたてにして承知しなかった...
海野十三 「月世界探険記」
...卵をたてに立てたような形をし...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...すぐ目の前に、たてにスーッと、ほそい、光ったすじが見えます...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...よしないぎりをおたてになってあえなくおはてになりましたのは...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...そのゝちほんとうに新兵衛どのをお取りたてになりました...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...阿弥陀様は左様な罪人の為に弘(ひろ)く誓いをおたてになったのだ...
中里介山 「法然行伝」
...しげらへる森のはたてに...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...この家(うち)へ来たてには一向(いっこう)要領を得なかったが...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...雨気の多い日には障子の開けたてに菊の香が動いた...
原民喜 「忘れがたみ」
...その側(わき)に二三本のけすじたてに...
三宅花圃 「藪の鶯」
...しばらく待たせておけとの御意ですから」と、そこの一室へ褥(しとね)を設け、茶を供え菓子など出して、主命をたてに、いやおうなく控えさせてしまった...
吉川英治 「黒田如水」
...「べつに計(はかりごと)をおたてになればよいでしょう...
吉川英治 「三国志」
...また炉へ茶をたてにかくれた...
吉川英治 「新書太閤記」
...それもたてに植(うわ)っていた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
...空のはたてに低く細くたなびきて...
若山牧水 「樹木とその葉」
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