...この世でのただ一人(ひとり)の秘蔵物として葉子の頭から足の先までも自分の誇りにしている婆やの切(せつ)ない心持ちは...
有島武郎 「或る女」
...ただ一人だと思や心細いけんどもな...
泉鏡花 「海異記」
...ただ一人も現われないよ...
海野十三 「四次元漂流」
...文子さん(芥川夫人)にはただ一人の友達である立場...
小穴隆一 「二つの繪」
...今も老いたる支配人のアロンゾ・マジャルドーただ一人であった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...もはやただ一人の雇人もいないのであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...以上はただ一人の地球物理学者の目を通して見た日本神話観に過ぎないのであるが...
寺田寅彦 「神話と地球物理学」
...彼は自分の友を感じていたであろうか? 彼はただ一人であった...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...彼は静寂のうちにただ一人ぽつねんとしてる自分を見出した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...あまりお感じにならんかの」と老人だけにただ一人寒がっている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...わたしは弟のただ一人の信用できる人間ですけれど...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...ただ一人の女の聲だけで...
三好十郎 「肌の匂い」
...これが本人ただ一人の心の迷(まよい)から出たものと解してしまうことが昔はできなかった...
柳田国男 「山の人生」
...自分の部屋でただ一人眠っていたときに見た夢だったが...
横光利一 「旅愁」
...松平源次郎はただ一人で...
吉川英治 「江戸三国志」
...あとにただ一人取り残された新九郎は...
吉川英治 「剣難女難」
...二関羽と張飛のふたりに別れてから、玄徳は姿を土民のふうに変えて、ただ一人、故郷の県楼桑村(たくけんろうそうそん)へ、そっと帰って行った...
吉川英治 「三国志」
...浄海入道ただ一人であったのである...
吉川英治 「随筆 新平家」
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