...陽の光もなく夜の闇もないたそがれ時になると...
有島武郎 「秋」
...少年たちも桂君といっしょにぞろぞろと門内にはいり、たそがれ時の、ものさびしい境内(けいだい)を、あちこちと見まわしていましたが、最年少の羽柴壮二君が、何を発見したのか、びっくりしたように、桂君の腕をとらえました...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...たそがれ時と夜には兎が規則的にあらわれてたらふく食った...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...たそがれ時、重い大きい葛籠を背負ひ、雪の上に俯伏したまま、お婆さんは冷たくなつてゐた...
太宰治 「お伽草紙」
...人間に美しいものの噂をどんな遠方からでも持って来てくれるたそがれ時にもその潮流は似ている...
ロード・ダンセイニ Lord Dunsany 松村みね子訳 「人馬のにひ妻」
...木枯らしの吹くたそがれ時などに背中へ小さなふろしき包みなど背負ってとぼとぼ野道を歩いている姿を見ると...
寺田寅彦 「ステッキ」
...八丁度たそがれ時...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「よく聴くがよい、次平」「…………」「俺は居ながらにしてその二千両を捜し出してやろう――山脇玄内といえども鬼神ではあるまい、物の隙間や、節穴から入れるわけはないのだ、――多分、酉刻(むつ)前後の門の閉まる前、出入りの一番混雑する時を狙(ねら)って、家中の身分ある者と見せかけ、表門から威張り返って入ったことだろう」「…………」「金蔵の入口は、たそがれ時、係り役人の後ろに物の影のようについて入ったに違いない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たそがれ時だったが...
長谷川時雨 「江木欣々女史」
...たそがれ時の悲しみ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...たそがれ時になるやいなやシネラリヤに出かけてのう/\と翼(はね)を伸したのです...
牧野信一 「ランプの便り」
...あれはたそがれ時に忍んで来る者どもの白いちいさい足の音か? それとも...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「ウスナの家」
...或る風もないたそがれ時であった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「女王スカァアの笑い」
...バルヴァが再び訪ねて来てエマルを連れて行った日のたそがれ時...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「約束」
...なかなかに折りやまどはん藤の花たそがれ時のたどたどしくばというのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...たそがれ時の近づくに...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...正成はいまたそがれ時の燭(しょく)に見ていた...
吉川英治 「私本太平記」
...たそがれ時であったが...
吉川英治 「新書太閤記」
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