...「それ今ひと息だぞっ」君の父上がしぼり切った生命を声にしたように叫んだ...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...確(たしか)に若い婦(おんな)だと思うと悚然(ぞっ)とした...
泉鏡花 「遺稿」
...室へはいると急に冷たい空気にからだじゅうをぞっと打たれる...
大杉栄 「獄中記」
...考えてもぞっとするようなことだ...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...」さすが放埓(ほうらつ)の三人も、昔の遊び友達の利左の浅間しい暮しを見ては、うんざりして遊興も何も味気ないものに思われ、いささか分別ありげな顔になって宿へ帰り、翌(あく)る日から殊勝らしく江戸の神社仏閣をめぐって拝み、いよいよ明日は上方へ帰ろうという前夜、宿の者にたのんで少からぬ金子を谷中の利左の家へ持たせてやり、亭主は受け取るまいから、内儀にこっそり、とくどいくらいに念を押して言い含めてやったのだが、その使いの者は、しばらくして気の毒そうな顔をして帰り、お言いつけの家をたずねましたが、昨日、田舎へ立ちのいたとやら、いろいろ近所の者にたずねて廻っても、どこへ行ったのかついに行先きを突きとめる事が出来ませんでしたという口上で、三人はそれを聞いて利左の行末を思い、いまさらながら、ぞっとして、わが身の上も省(かえりみ)られ、ああ、もう遊びはよそう、と何だかわけのわからぬ涙を流して誓約し、いよいよ寒さのつのる木枯しに吹きまくられて、東海道を急ぎに急ぎ、おのおのわが家に帰りついてからは、人が変ったみたいにけち臭くよろずに油断のない男になり、ために色街は一時さびれたという、この章、遊興もほどほどに止(とど)むべしとの戒歟(いましめか)...
太宰治 「新釈諸国噺」
...南はのけぞって倒れた...
田中貢太郎 「竇氏」
...どうにもあまりぞっとしないと思われる句が七部集の中でもたくさんにある...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...私はぞっと震え上って逃げ出しました...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...私はぞっと震え上り...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...ひやりとしますよ……」私はぞっとして...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...テナルディエはうれしさにぞっとした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...婆さんはそれが千フランの紙幣であるのを認めてぞっとした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...歌舞伎劇のクラシカルな劇に幼少から見慣れていた眼にはあんまりぞっとしなかったのでこの暇と金をもって他の立派な歌舞伎劇を見ればよかったにと聊(いささ)か後悔しながらそれでも我慢して見て行くうちにだんだん面白くなって行った...
中里介山 「生前身後の事」
...こぞって社会運動の烽火をあげていた時代であった...
中谷宇吉郎 「寺田寅彦の追想」
...小さいあみ目のある原稿用紙はみるのもぞっとしてしまう...
林芙美子 「新版 放浪記」
...ひときわ華やかなマルメゾン・カーネーションにぞっこんの振りをした...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...ぞっと身内を流れた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...江戸藩邸の反論は、こぞって、彼の赤誠に屈伏した...
吉川英治 「田崎草雲とその子」
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