...……昨夜(ゆうべ)、戸外(おもて)を舞靜(まひしづ)めた、それらしい、銀杏(いてふ)の折(を)れ枝(えだ)が、大屋根(おほやね)を越(こ)したが、一坪(ひとつぼ)ばかりの庭(には)に、瑠璃(るり)淡(あは)く咲(さ)いて、もう小(ちひ)さくなつた朝顏(あさがほ)の色(いろ)に縋(すが)るやうに、たわゝに掛(かゝ)つた葉(は)の中(なか)に、一粒(ひとつぶ)、銀杏(ぎんなん)の實(み)のついたのを見(み)つけたのである...
泉鏡太郎 「十六夜」
...男は一軒々々それらしい家の前にたっては尋ねてくれたが目的の模型は見つからなかった...
伊藤野枝 「わがまま」
...それらしい様子は私には伝はらなかつた...
高浜虚子 「椿子物語」
...それらしい家は見つからなかった...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...時にはあたりにそれらしい人家も見えないのに...
田山花袋 「田舎教師」
...それらしい老紳士の姿を...
徳田秋声 「仮装人物」
...どうもそれらしいと教えられて行ったある樓(うち)から出てくる...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...もうそれらしいものは消え失せて...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...ついにそれらしい何物もありませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...それらしい人はいずれにも見えない...
中里介山 「大菩薩峠」
...それらしい様子もない...
中島敦 「文字禍」
...それらしい影が点在する...
原民喜 「壊滅の序曲」
...そこまで出て行った彼はそれらしい方向には一帯の松林をしか見出(みいだ)さなかった...
堀辰雄 「恢復期」
...蒼茫(そうぼう)とした月明(つきあかり)を思わせるようにあかるい夜ぞらと庭樹の間にはそれらしい陰影すらなかった...
室生犀星 「後の日の童子」
...それらしい舟は一艘(そう)もみえず...
山本周五郎 「新潮記」
...幾たびかそれらしい折もございましたが...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...それらしい船が後ろから白浪を蹴立ててくる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...それらしい山門はない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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