...それにしても、冷たいコンクリートの上に寝かされているとは、なんという相手の無礼(ぶれい)だろう...
海野十三 「海底都市」
...それにしても、唇のない怪物と、彼奴に狙われた倭文子とが、同類だなんて、そんな馬鹿なことがあるだろうか...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...……しかしそれにしても腰にぐるぐる巻き付けた水色縮緬(ちりめん)の幅広なのは少々野暮に過ぎますね...
相馬泰三 「六月」
...これもまた一種の女難にちがひ無からうが、しかし、それにしても、あまりに野暮な女難である...
太宰治 「お伽草紙」
...「そうですよ、ありゃ狂人(きちがい)ですよ、あれから豪(えら)いことがありましたよ、あなたは御存じないのでしょう」「ちっとも存じません、私を追いかけて来るようでしたから、変な巷(ろじ)を抜けて逃げてまいりましたわ、何かありまして」「あなたの後(あと)から、追っかけるようにして出て、あの前(さき)で咽喉(のど)を突いて死んだと云うのですよ、私は見なかったが、婢(じょちゅう)が後(あと)から往って、見て来ての話でしたよ、どうも狂人(きちがい)ですね」「ま、咽喉を突いて、どうしたと云うのでしょう、可哀そうでございますの、ね」「可哀そうですよ、私のテーブルへ来て靺鞨(まっかつ)の玉(たま)と云うのを人に盗まれたから、それを探して、東洋の港から港をさまようていると云ったのですよ、へんな夢のようなことを云ってましたから、どうしても狂人(きちがい)ですね」「そうでしょうか、それにしても、可哀そうじゃございませんか、どこの方(かた)でしょう」「さあ、どうも支那人らしいです、ね」「そうでございましょうか」謙作はこの時、この女は思ったような女でないと思って軽い失望を感じた...
田中貢太郎 「港の妖婦」
...それにしても私はいよ/\一人になつた...
種田山頭火 「行乞記」
...それにしても私はこの為めに何んなに心を濫費(らんぴ)したらう...
田山録弥 「心の階段」
...それにしても纏(まと)まった金を自分の懐ろにして...
徳田秋声 「仮装人物」
...それにしても第一撃のいかにすさまじかりしぞ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...それにしても、道庵が今晩に限って、なぜ、こうして改まって本を読み出したのだか、また、こうまで改まって、道庵をして巻を措(お)くを忘れしむるほどの書物は何物であるか、それは充分にわかりませんが、道庵の眼の前には、たしかに一冊の書物が置いてあるにはあるのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...「それにしても新らし過ぎるよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それにしてもすこし恍け方の度を超え...
久生十蘭 「魔都」
...それにしても今度は...
牧野信一 「悪筆」
...それにしてもわたしは...
牧野信一 「半島の果にて」
...それにしてもまだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...けれどそれにしても限度がある...
吉川英治 「三国志」
...いまのような幕府を見ては」それにしても...
吉川英治 「私本太平記」
...まるで見えなくてよ」「散歩かしら」「それにしても...
蘭郁二郎 「※[#「氓のへん/(虫+虫)」、第3水準1-91-58]の囁き」
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