...「蟹といふ奴は、月夜には身が痩せるものだと云はれるが、それどころか、朝取つたのと夕がた取つたのとは、實質が丸で違ふほど、中身が微妙な組織を有する」こと...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...それどころか、あんたの存在を認める者たちだっているかもしれないな...
C. スミス C. Smith The Creative CAT 訳 「西洋科学は素晴らしい」
...「いいえ、それどころか...
太宰治 「風の便り」
...それどころか、彼は何もしなかつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...『ところが、どうでしょう?』とホフラーコワ夫人は感激して付け加えている、『予言は文字どおりに、それどころか、それ以上に的中したのです』お婆さんがわが家へ帰ったかと思うと、もうシベリアから待ちに待っていた便りを渡された...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それどころか、あの『ごろつき』どもに、わたしはけっして自分で想像しているほどの臆病者でないということを、堂々と証明してやりたくてたまらなかった...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...否、それどころか、このキリスト教的理想の欠乏こそ、人類の進歩を破滅に帰し、従って、生活の可能をも破壊するものである...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...いや、それどころか、遠藤主膳の辛辣な舌は、当時の領主兵部少輔の失政の数々を、養子の出雲守頼門の前に、遠慮会釈もなくまくし立てるのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...それどころか、この時八五郎の心を一パイ埋めてゐるのは、お弓の泣き濡れた姿と、それをどう慰めたものかと思ふことだけだつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それどころか、断食芸人は(まったく信じるに価することだったが)以前と同じように断食できる、と断言した...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「断食芸人」
...それどころか、日ごろの水練上手を知っているので、いくらか疲れているのを見ても、格別、心配もしていなかった...
火野葦平 「花と龍」
...それどころか、これ等の人々は作品には、一般に人類の幸福をおしすゝめる拍車となるやうなものすら何一つ見当らぬ...
平林初之輔 「政治的価値と芸術的価値」
...それどころか何十年も前とそっくりそのままの顔...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...それどころか子分共が手札を切り損ねたようですよ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...それどころか彼女たちがまったく知らない間に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それどころか、はげしく渦(うず)をまいている流れのまんなかの、すべりやすい、ぬれた岩の上に立って眠(ねむ)るのは、きみわるくておそろしいことだと思っていたのでした...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...だが、ごろつき街の連中にすれば、それどころかは、額(ひたい)を集めての、薄暗い密議まちまち...
吉川英治 「新・水滸伝」
...それどころか、そなたの父、蔡(さい)大臣のお引立ては、夢寐(むび)の間にも、忘れてはおらん」「そういえば、あなた、やがてもう、父君の誕生日も間近でございますよ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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