...それでいて立派に物そのものを活かして...
上村松園 「簡潔の美」
...それでいて、ちゃんと生物棲息の条件を備えた二個の惑星を持っている...
海野十三 「地球発狂事件」
...それでいて、あの女と別れるわけにも行かない...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...それでいて実に美しいものも世の中にはある...
寺田寅彦 「二科展院展急行瞥見記」
...それでいてどこか狡るそうな微笑を洩らした...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...それでいて学者だから驚くて...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それでいて、酒気もなく、変に真面目だ――ふだん、酒をなめたり、はしゃいだり、ふざけたりしてる者が、何かの拍子にふっとそんなことを忘れて、まじまじと眼を見開いてる、そういう調子外れの真面目さだ...
豊島与志雄 「女客一週間」
...「それでいて、個人的に逢えば、誰もみな好人物だし、酒をのめば、しめくくりのないだらしなさをさらけだすんじゃないか...
豊島与志雄 「傍人の言」
...それでいて一日中夜なのであるから...
中谷宇吉郎 「アラスカ通信」
...「それでいて、碁(ご)を打つ、謡(うたい)を謡(うた)う...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...それでいて卒中のように見えてしまうんです...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...それでいて何故アア何の道理も無く何の理由もなく...
二葉亭四迷 「浮雲」
...それでいてこのまま只今のように空しく待たされて居りますると...
堀辰雄 「ほととぎす」
...それでいて、あたりは森(し)ーんとしているのです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それでいて、私には、それがコッケイで大ゲサに思われて、笑ってしまったのです...
三好十郎 「恐怖の季節」
...それでいて、ひゅうひゅうと云う音だけは矢張際立って聞えるのである...
森鴎外 「心中」
...それでいて、顔はふしぎに白く輝(かがや)いていました...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...それは、こうしている宿屋住居の二人の生活が、前とだいぶ変って他人行儀がとれ、それでいて、許し合った情人というほど密でもなく、夫婦ともつかず、お互いにどうにもならない運命の部屋に閉じこめられているような状態から見ても、その後、お粂と金吾の仲に思いがけない――もう切るにも切れないものが生じて、悪縁の鎖を結んでしまッたことが明らかであります...
吉川英治 「江戸三国志」
便利!手書き漢字入力検索