...しかるときは、かの女に憑付せりという狐は野狐(やこ)の類にあらずして、おそらく、わがまま狐ともいうべき一種の狐ならん...
井上円了 「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」
...動物は高等なものになるほど生存競争がゆるやかになるなどという説はおそらくこれに基づいたものであろう...
丘浅次郎 「人類の生存競争」
...おそらくすべての学識ある人々によってそれが論証と看做されていることを彼等が知っているところの根拠を...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...三相対性原理の比較的に深い理解を得るためにはその数学的系統を理解する事はおそらく必要である...
寺田寅彦 「相対性原理側面観」
...おそらくすべての事を被(おお)ってしまうことが出来たに相違なかった...
コナンドイル 三上於莵吉訳 「グロリア・スコット号」
...おそらくかつて存在しなかったかも知れないその善人と...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...(おそらく御山を拝んだ手を額にかざして――その様子が想いやられる)...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...朝の陽光がじりじりと縁側の端を照りつけているのを見ただけでも彼は堪(たま)らない気持をそそられる...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...おそらく別なときになら...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...上体を後ろにそらしていた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...私(わたし)は烽火(のろし)のやうに空(そら)へ上(あが)つて行(ゆ)く!』『然(さ)うだ!』と他(ほか)の者(もの)が云(い)ひました...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...子の口が酥酪(そらく)で香(にお)うを嗅(か)ぎ付けて...
南方熊楠 「十二支考」
...金吾 そらあ、だけんど、向うでのお疲れやなんぞ、この、お疲れが一度に出たんでやしょう...
三好十郎 「樹氷」
...燕をそらす柳の手もと...
吉川英治 「剣難女難」
...今は住むに家なく、身の隠しばもない境遇とお嘆きなのか」「つい、つまらぬことを」「ははあ、察するに」高氏は、眼をそらした...
吉川英治 「私本太平記」
...おそらく、南北朝大乱の前も、そんな世態だったのだろう...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...秋づきしもののけはひにひとのいふ土用なかばの風は吹くなりうす青みさしわたりたる土用明けの日ざしは深し窓下の草に園の花つぎつぎに秋に咲き移るこのごろの日の靜けかりけり畑なかの小路を行くとゆくりなく見つつかなしき天の河かもうるほふとおもへる衣(きぬ)の裾かけてほこりはあがる月夜の路に野末なる三島の町のあげ花火月夜のそらに散りて消ゆなり...
若山牧水 「樹木とその葉」
...眼をそらすと富士は昨日の朝の様に同じく深い紫紺の色に冴えて汽車のうしろに聳えて見えた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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