...法衣(ころも)の袖に春がそよぐ...
泉鏡花 「海神別荘」
...死をまへの木の葉そよぐなり陽を吸ふ死ぬる夜の雪ふりつもる生死のなかの雪ふりしきる十二月廿二日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...・青葉そよぐ風の...
種田山頭火 「其中日記」
...(自嘲自讃の言葉)×・どうやら霽れさうな草の葉のそよぐそよぐ・はれるよりてふてふは花のある方へ・ぬれててふてふのさがす花はある・はれるとてふちよがさかやさんがやつてきた・しげるがままの草から筍のびあがる・山のみどりの晴れゆく雲のうつりゆく×なぜに涙がでるのだろ――(私の小唄)――×梅雨出水・さかまく水が送電塔へ降りしきるさみだれのむかうから人かげは酒やさん×□藪蚊□鼠□油虫×・野心的...
種田山頭火 「其中日記」
...郵便も来ない日のつくつくぼうし・風が雨となる案山子を肩に出かける・電線とほく山ふかく越えてゆく青葉・竹の葉のすなほにそよぐこゝろを見つめる昼ふかく虫なく草の枯れやうとして・てふてふもつれつつかげひなた(楠)・風鈴しきり鳴る誰か来るやうな九月十一日秋晴...
種田山頭火 「其中日記」
......
種田山頭火 「旅日記」
...笹の葉にそよぐ風の昔が少しく耳立ち...
永井荷風 「畦道」
...蘆のそよぐ音なぞに秋の黄昏の寂寞悲哀を示す短い序曲(ウウベルチユール)を聞かせた後(のち)は...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...しかしまた田圃づたいに歩いて行く中水田(うちみずた)のところどころに蓮(はす)の花の見事に咲き乱れたさまを眺め青々した稲の葉に夕風のそよぐ響をきけば...
永井荷風 「すみだ川」
...あたりは寂(しん)として枯蘆のそよぐ音も聞えないのは...
永井荷風 「元八まん」
...(こは――すべてこは――遠き昔のことなりき)戯(たわむ)れそよぐ軟風(なよかぜ)にいともよきその日...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...または汽車の過ぎた後で罌粟(けし)が散るとか薄(すすき)がそよぐとか言うように他物を配合すればいくらか見よくなるべく候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...「風にそよぐ葦」は甚だひろくよまれている...
宮本百合子 「傷だらけの足」
...そよぐ風音にも油断せずして行く程に何処(いづこ)にて踏み迷ひけむ...
夢野久作 「白くれない」
...青田のそよぐ豐饒な沃地と變つてゐた...
吉川英治 「折々の記」
...左の手は胸までそよぐ顎髯(あごひげ)を扱(しご)いて悠々然と座に着いた...
吉川英治 「剣難女難」
...胸にそよぐ長髯(ちょうぜん)は刀の鍔(つば)まで垂れていた...
吉川英治 「剣難女難」
...ザアッ……とそよぐ笹やぶを透(す)いて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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