...草の葉がそよぐ度びによく光る...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...そよぐ幻影あなたは ひかりのなかに さうらうとしてよろめく花...
大手拓次 「藍色の蟇」
...さびしさにたへて・もう死んでもよい草のそよぐや(帰庵病臥二句)・死ねる薬はふところにある草の花・灯すよりぶつかつてくる虫のいのちで(改作)七月十五日今日も曇つてゐるが...
種田山頭火 「其中日記」
...うら/\として蝶がもつれる、虫がとびかふ、草がそよぐ、小鳥がさえづる、そして人間は...
種田山頭火 「其中日記」
......
種田山頭火 「草木塔」
...旅も一人の春風に吹きまくられ波音の菜の花の花ざかり春まだ寒いたんぽゝたんぽゝ指のしなやかさ春の日ざしの杉菜そよぐのも春はまだ寒い風かすんでとほく爆音のうつりゆくを山羊鳴いて山羊をひつぱつてくる女・うらうらやうやうたづねあてた・椿は落ちつくして落ちたまゝ四月十五日花ぐもり...
種田山頭火 「旅日記」
...霧が蘆そよぐ岸辺にほのぼのと立(たち)のぼった...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...「暗」と「眠」夕暮迷ふ蝙蝠の羽音にそよぐ川柳其みだれ髮わがねつゝ「暗」と「眠」とつれだちて梢しづかに下だりけり...
土井晩翠 「天地有情」
...笹の葉にそよぐ風の音が少しく耳立ち...
永井荷風 「畦道」
...然(しか)しまた田圃(たんぼ)づたひに歩いて行(ゆ)く中(うち)水田(みづた)のところ/″\に蓮(はす)の花の見事に咲き乱れたさまを眺(なが)め青々(あを/\)した稲(いね)の葉に夕風(ゆふかぜ)のそよぐ響(ひゞき)をきけば...
永井荷風 「すみだ川」
...椰子の葉のそよぐ島をはなれて...
萩原朔太郎 「宿命」
...丘の樹間に笹絹(レース)のそよぐ総督官舎の窓へと...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...二人は空中に光のそよぐ岸を撫でる木の葉のさざなみのような不思議なうつくしい歌をきいた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...薄(すすき)がそよぐとか言ふやうに...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...木の葉のそよぐ音もしない...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...左の手は胸までそよぐ顎髯(あごひげ)を扱(しご)いて悠々然と座に着いた...
吉川英治 「剣難女難」
...駅前から海気にそよぐ狭い灯の町を車で一走...
吉川英治 「随筆 新平家」
...見えるかぎり夕月にそよぐ萱(かや)の波へ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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