...その間をただ、凌霄花のにおいのする風が、またしてもかすかに、通りぬけると、たちまち楼上で平六の、何か、わめく声がした...
芥川龍之介 「偸盗」
...その間から母屋の中庭にかけては小禽たちの鳥舎...
上村松園 「画室談義」
...その間は全く訪客を謝絶し...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...その間を赤青黄紫と色とりどりの紐線(ひもせん)が縦横無尽に引張りまわされているのであった...
海野十三 「人造人間事件」
...その間にいちじるしい懸隔のあることがただちに知れる...
丘浅次郎 「民族の発展と理科」
...その間にお互いにとって何かの新しい価値のあるものを獲得する時間をもたないで会う...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...その間に私は二度も罹災(りさい)していた...
太宰治 「十五年間」
...中泉さんのアトリエにかよっている研究生たちと一緒に、二、三日箱根で遊んで、その間に、ちょっと気にいった絵が出来ましたので、まず、あなたに見ていただきたくて、いさんであなたのお家へまいりましたのに、思いがけず、さんざんな目に逢いました...
太宰治 「水仙」
...その間に漏れているところを補って行けば...
谷崎潤一郎 「鍵」
...その間に夫婦専用の浴室と便所が挟まっている...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...もつともその間にも通史はない譯ではなく...
内藤湖南 「支那史學史概要」
...その間も、一方、眼の方は相手からそらさずに怪訝(けげん)そうな凝視を続けていたのだが、その中に、私の心のすみっこに、ハッキリとは解らないが何か非常に長い間忘れていたようなあるものが見付かったような気がした...
中島敦 「虎狩」
...その間に秘められている法則を見つける学問...
中谷宇吉郎 「科学と国境」
...その間の結晶の生成発達...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...その間に福三郎に飲ませるように仕向けた――」「…………」「帰って来ると誂(あつら)え通り福三郎は死んでいた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人生甚だ長くしてその間に千種万様の事情あるにもかかわらず...
福沢諭吉 「日本男子論」
...それでもその間には谷のように低まった処や...
北條民雄 「いのちの初夜」
...私はその間に『文学界』の同人諸君と知り合いになっていた...
柳田国男 「故郷七十年」
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