...まるで生まれかわったようにその心は倉地でいっぱいになってしまった...
有島武郎 「或る女」
...その心は痛々しい程にむき出しで鋭敏だ...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...その心は三友よりもかえって神と真理とに近かったのである...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...その心は黄金(きん)の指環(ゆびわ)に惹(ひ)きつけられた...
田中貢太郎 「指環」
...その心はいろいろなことを語っていた...
田山花袋 「田舎教師」
...その心は日に幾遍となく変った...
田山花袋 「蒲団」
...その心は知らず知らず自然の表面の諸相の奥に隠れたある物への省察へ導かれるのである...
寺田寅彦 「化け物の進化」
...その心は一日も平静なる能(あた)わざりしなり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...その心はありながら...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...その心はしきりに形勢を探り...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...深雪は、時々、通りながら、じろじろ眺めて行く旅人の眼を避けて、庄吉と同じように、湖水を見ながら――だが、その心は、益満の話を聞きながら(本当に――)と、思ったり、そう思うと、小太郎の、父に似た頑ななところを、早く、益満のように、捌けてくれたらと、思ったり、俯向いている小太郎を、眼の隅で見ては(何んとか、云えばいいのに)と、兄の肩をもったり――していた...
直木三十五 「南国太平記」
...その身はさまざまの病(やまい)に冒(おか)されその心はくさぐさの思(おもい)に悩みて今日は咋日にまして日一日と老い衰へ行くを...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...――イカムネ・カラアがまがつてゐる――その脣(くちびる)は(ひら)ききつてその心は何か悲しい...
中原中也 「山羊の歌」
...いっそうその心は募るばかりである...
中村地平 「霧の蕃社」
...その心は我々の期待するよりはるかに以上であるから...
新渡戸稲造 「自警録」
...そして彼女にも自分のその心は解つてゐた筈なのに? どうして? 今! そんなことがこゝに公開されたのかな? 自分から先に何か話し出したのだつたかしら? それに違ひないんだらうがな? ――そんな鈍い焦噪から私は...
牧野信一 「毒気」
...その心はどこかに冷たさのある...
室生犀星 「荻吹く歌」
...彼の涙は流るるも、その心は折れず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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