...少(すくな)くもこれに似たる苦難に逢いてその実験の上にこの書を著したものと見ねばならぬ...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...その実かなりこみ入っている...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...井口警部(いぐちけいぶ)はその実否(じっぴ)を...
大下宇陀児 「金魚は死んでいた」
...その実験はそういう意味で...
戸坂潤 「技術へ行く問題」
...ローマはその実例をたれている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...えらい! 日本にもそういう若いのが出なけりゃあならねえと承和の昔から、道庵が待ち望んでいたのがそれだ、万物の霊長たる人間が、鳥類のやることが出来ねえということがあるものか、異国を見ねえ、第一あの黒船を見ねえ、鉄砲を見ねえ、早撮写(はやとりうつ)しの機械を見るがいい、切支丹の魔術でもなんでもねえんだ、みんな理窟から組み立てて行って、理詰めにして編み出した仕事なんだ、荘周や馬琴なんぞは甘めえもので、ありゃお前(めえ)、頭のてっぺんから出たうわごとに過ぎねえが、異国のやつらときた日にゃ、いちいち物を理詰めに見て行くからかなわねえ、お前たちは知るめえが、(その実、先生もどうだか)このごろ異国のやつらは蒸気車というやつをこしらえやがったぜ、つまり陸蒸気(おかじょうき)さ――黒船を陸(おか)へ上げて蒸気の力で車を走らせようというんだから変ってらあな、只は動かねえよ、陸の上へ鉄の棒を二本しいて、その上をコロコロッと転がすんだ、そうすると瞬(まばた)きをする間に千里も向うへ突っぱしってポーッと笛を鳴らすという仕掛なんだぜ、そりゃお前、途中の山だって、川だって、その勢いでみんな突き抜いて通るんだぜ...
中里介山 「大菩薩峠」
...その実両方の仲を堰(せ)く...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...その実は野々宮某という女友達の嫉妬(しっと)から言触らされたのを知らなかったのである...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...その実(じつ)こちらはポケットからハンカチを取り出そうとしただけであった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...名は藩士の所得に関係なきがごとくなれどもその実(じつ)は然らず...
福沢諭吉 「旧藩情」
...その実自然法派と歴史派との争論に外ならぬのである...
穂積陳重 「法窓夜話」
...その実私は非常に臆病で決して不養生なんてしなかつた...
牧野信一 「妄想患者」
...その実を見るに及ばざりしなり...
正岡子規 「曙覧の歌」
...その実極めて用意周到である...
正岡子規 「病牀六尺」
...その実テッサリア人毎(いつ)も騎馬して牛を追い捕うる事...
南方熊楠 「十二支考」
...鼠に似た物だがその実全く鼠と別類だ...
南方熊楠 「十二支考」
...その実名小説も多くは...
宮本百合子 「現代文学の広場」
...わたしはその実例を幾つかお話しなければならない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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