...そこかしこで私語が起った...
海野十三 「地獄の使者」
...そこかしこに点々と輝く鏡のような五湖の冷たい水の光を鏤(ちりば)めて鮮かにも奇怪な一大裾模様を織りなし...
大阪圭吉 「闖入者」
...そこかしこに三味線の音がする...
種田山頭火 「行乞記」
...落ちつかぬ気持でそこかしこを歩き廻ったことのある人なら...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...吾人の残務はただそこかしこの小さい穴を繕うに過ぎぬと考えればプランクの説はもっともと思われる...
寺田寅彦 「物理学と感覚」
...原っぱのそこかしこに...
長谷川時雨 「西洋の唐茄子」
...そこかしこに咲いているにかかわらず...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...そこかしこと歯磨の小島が浮きつ沈みつただよっている...
正岡容 「寄席」
...そこかしこに愛人を持つ源氏であることを思うと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...殖えるにしたがって城中のそこかしこに植え移してあった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...そこかしこから「……おおうい」と...
吉川英治 「私本太平記」
...不気味なほど赤い雲の下を、素頭(すあたま)にただ鉢巻したのや、鉢金と脛当(すねあて)だけで、胴も着けてない男や、草鞋(わらじ)なしの足に、ただ縄を巻いて、長巻一ツを持って躍り出るのやら、とにかく雑多な武装をした者どもが、「陣触れだぞ」「おういっ、大江へ出ろ」と、触れ合いながら、そこかしこの、散所部落の路地や辻から駈け出して行った...
吉川英治 「私本太平記」
...鼓(つづみ)を合図に、両軍それぞれの大兵が、鶴翼(かくよく)、鳥雲(ちょううん)、水流(すいりゅう)、車輪(しゃりん)、陰陽(いんよう)三十六変の陣形さまざまに描いてみせ、最後にはわあああっ……と双方起って乱軍となり、そこかしこで、凄まじい一騎討の競武が展開された...
吉川英治 「新・水滸伝」
...主たる装飾要素はそこかしこに現れる壁面彫刻の系列で...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...隠れた象徴をそれとなく仄めかす感じがそこかしこにあり...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...海面はそこかしこで異様な噴出に沸き返っていた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
...そこかしこ光っている黒い服...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
...というのは、太陽の白い針が、そこかしこ、穴を明けているのである...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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